占冠-トマムは2009年に、トマム-十勝清水は2007年11月に開通。
 この区間の開通により日勝峠越えの難所を高速道路でパスすることが可能となり、道東と道央を一気に近くした。
下り線 区間3
道東道下り線 区間4
下り線 区間5
3 夕張 4 むかわ穂別 5 占冠 6 トマム 7 十勝清水 8 芽室 9 帯広JCT.

Discription
 取材日:2017年8月6日
 夕張IC→音更帯広IC→(一般道)→池田IC→白糠IC

 夕張市内の道道を撮影してからの、真夏の道東道撮影。
 観光ハイシーズンではあったが、お盆の1週間前の土日とあって渋滞どころかむしろ普段より空いていた。
Report / Section.4
 [ 5 ] 占冠IC

 占冠ICで一旦出場した我々の目的は、JR占冠駅での窓口券購入。

 しかし、運悪く休憩時間にジャストミートした我々は、切符収集の失敗。失意のうちに十勝路へ入る。
 再び帯広方面へ走る。
 占冠PA 2.7km
 十勝平原SA 58km

 ここで休憩施設案内。占冠PAは2011年の夕張-占冠開通に伴い追加された施設であるため、ここだけ標識がヒラギノ体となっている。

 占冠-十勝平原間の距離は堂々の50kmオーバー。由仁PAから2連続で休憩施設が50km以上離れている
 [ 6 ]トマム25km
 [ 7 ]夕張46km
 帯広80km

 距離標識。ここからトマムICまで25km。占冠-トマムの区間距離は26.2kmあり、これは道東道最長である。  
 占冠IC直後からしばらく続いた追越車線がここで終了する。

 ここから先はトンネルを4本抜けたE95KP付近まで約15kmほど対面通行が続く。
 占冠PA 1km

 案内標識の下に電光掲示板らしきものが仮設されている。4文字熟語を表示できるようだが普段は見ないので渋滞対策か。
 下り線のエリア前を通過する。

 占冠PAは北海道では珍しく、上下線で位置が少しずれている。
 占冠PA

 由仁以来50kmぶりのPAとなる。

 なお、占冠ICにほど近い村中心部には道の駅しむかっぷが置かれている。占冠IC利用時は道の駅で休憩を済ますのも手だし、占冠PA混雑時の最終手段として道の駅利用というのも頭に入れておきたい。
 占冠駅で一旦降車している我々だが、せっかくなので一時休憩。
 占冠PA

 自販機・トイレ、情報端末のみの無人PAだが、由仁や十勝清水と同様に夏期のみ露店が営業している。占冠PAは道東-道央を行き来する一般車はもちろん、大型バス、トラックも数多く利用しており、時期を問わず賑わいを見せる。

 実際、このPAに関してはいっそ通年で売店を置いても良いのではないかと思う。
 道東道のSAPAには「ハイウェイガーデン」と呼ばれる欧米風の庭園が置かれている。

 監修は「紫竹ガーデン」など観光地ともなっている庭園業者のデザインで、ここ占冠では深緑の山々を背景に草花が勢いづき、いかにも夏の庭といった感じで風情がある。
 休憩を終え、本線に戻る。
 風速 2M
 気温 27℃

 占冠も相変わらず爽やかな暑さだ。
 占冠は道内でも屈指の寒さの厳しい地域で、これが厳冬期になると-20℃台後半も平気で観測する。
 トンネル内渋滞注意 車両・追突注意

 これも注意を促す仮設の幕。字が詰まって読みにくい。
 東占冠トンネル 長さ 2490m

 占冠-トマム間最初のトンネル。長さは2kmオーバー。
 滝の沢トンネル 長さ 1000m

 2番めのトンネルも1km規模と決して短くはない。
 両トンネルとも照明は蛍光灯とナトリウム灯がメインで、壁面は何もなくだいぶ退屈。ただし冬になると吹雪と悪路から回避できる絶好の息抜き区間ともなる。
 横風注意
 ホロカトマムトンネル 長さ 1990m
 下トマムトンネル 長さ 750m

 トンネル内はやや大きく右にカーブする。
 下トマムトンネルをくぐると、直後でr136夕張新得線と立体交差する。

 この付近にはダート持ちの山岳道道、r1030石勝高原幾寅線の起点もあるのだが、この道道は長らく不通が続いている。
 今度はJR石勝線の線路をくぐる。今までほぼ道東道が線路をまたいでいただけに、新鮮さがある。

 なお、ここからトマムIC付近までしばらく石勝線・r136そして道東道が並走する格好となる。深い山林が広がる中でこれらの交通を互いに眺められるのは、秘境でありながら交通の要所であることを示している。
 追越車線 2km先
 JRと並走するように山間を縫う。このあたりはトマム方面への上り勾配が連続する。
 追越車線手前でのカーブ。

 対向車線では追越車線終了+下り勾配緩くなる+久々のカーブで、ものすごい勢いで巡航速度が落ちる。
 追越車線 長さ2480m

 トマム-占冠間2番目の追越車線は長さたっぷり2480m。

 余談だが、道東は「幅員が広くなると巡航速度を上げる」ドライバーが多い。対面通行で70km/h台で走っていたドライバーも追い越される側のくせに90km/hぐらいまで上げてくることがザラである。気持ちはわからなくはないが、追い越しに距離が必要になるので結局後ろに張り付かれやすくなるので全体から見れば非合理的である。
 送電線と高速道路以外、何も人間の気配がない山の中だ。
 長い追越車線はつかの間の開放感を味わえる。走りやすい。
 約2.5kmの区間を終え、対面通行へ戻っていく。
 再び対面通行。この辺りから一旦下り坂に転じる。
 
 99KP-100KP付近では道路左側(北側)にトマムスキー場と高層ホテル群を遠巻きに眺めることができる。延々と続く森林の一角に広がる広大なリゾート地は、まさに圧巻。
 E100KP

 ここを以て道東道は千歳恵庭分岐から100km。ここまで繋がったのも数々の難工事を乗り越えた関係者の努力あってこそ。おめでたい!

 と思うのだが、スペシャルキロポストの類は一切ない。これが節約、世知辛い世の中である。
 [ 6 ] トマム 2km

 トマムリゾートを通り過ぎるころ、トマムICへの予告標識が現れる。
 <136>(38)トマム 南富良野 
 [ 6 ] 出口1km

 1km予告標識。トマムに加え、r136/r1117/R38経由で南富良野の文字も。

 トマムを含む占冠村は特に1970年代以降過疎化が進んでいた。地域振興策として1981年にかつての北海道開発庁(開発局ではない)によるリゾート開発が提言され、1983年に「アルファリゾート・トマム」として開業、リゾート会員権の販売に寄る収益を見込んで施設を次々と開業させまさに「バブリー」なリゾート地として急速に開発が進んだ。
 <136>(38)トマム 南富良野 
 [ 6 ] 出口500m

 そうした無理な開発とバブル崩壊、97年の拓銀破綻が追い討ちとなり関連会社の1つで施設全体の4割を運営していた「アルファ・コーポレーション」は1998年経営破綻。その後、施設は村が一旦買収し、加森観光系列の子会社が運営を引き継ぎ、規模縮小の上で完全閉鎖は免れた。その後2004年、残り6割を運営する不動産会社「関兵精麦」が経営難から星野リゾートに施設を売却。その後、加森観光運営部分も星野リゾートに引き継がれる。
 <136>(38)トマム 南富良野 
 [ 6 ] 出口

 トマムリゾートとは反対側の山並みを背景に、トマムIC出口。

 2005年に全施設星野リゾート運営となったトマムリゾートは、夏の集客策として「雲海テラス」の設置、施設の漸次改修などを行い、昨今の外国人観光客の増加もあり占冠、あるいは北海道を代表するリゾート地として運営が続いている。
 [ 6 ] トマムIC

 ここで道東道を降りるとr1170トマムインター線を経てr136夕張新得線に接続する。ちなみに、トマムの名称は日本の高速自動車国道で唯一カタカナのみのインターチェンジ名となる。  
 トマムICを通過するとすぐに南富良野町へ入る。
[ 7 ]十勝清水20km
[ 8 ]芽室37km
  帯広54km
 帯広までついに50kmを切った。

 音更帯広もしくは芽室帯広から高速道路利用という贅沢ルートなら、トマム-帯広は1時間かからない。
 トンネル出入口 横風・凍結注意

 この先は峠越えルートとなる。道東道でも豪雪というより風の強い区間で、トンネルを出れば横殴りの地吹雪ということも珍しくない。
 狩勝第1トンネル 長さ2350m

 標識類は見当たらないが、標高625mの高さにあり、北海道内高速道路の最高地点とされる。  
 トンネルの作りはトマムIC以前より少し古い雰囲気となる。ナトリウム灯の方が落ち着く人はこっちのほうが走りやすいかも。
 トンネルを抜けると目の前には突如牧場風景が広がる。

 串内牧場という公共牧場(牛を預かって育成する共同の牧場)の敷地である。
 追越車線 4km先

 この先の第2狩勝トンネルを抜けたところに追い越し車線がある。
 そんな串内牧場の谷あいに出るところで、防風柵に囲まれる。
 新得町 この先1,680m

 この先の狩勝第2トンネル内に境があるが、補助標識で予告するという余り見ないスタイル。
 狩勝第2トンネル 長さ 2580m

 串内牧場の直下を通り抜けるため、土被りは比較的浅い。放牧時期、タイミングが良ければトンネルの真上に牛がいることも。
 トンネル内。狩勝第1トンネルとだいたい同じ。
 下り坂 4km 速度落せ

 先程のトンネル内からそうだったが、延々と下り坂が続く。
 追越車線 長さ850m

 登場してくれるのはありがたいのだが、下り坂の途中にあり全体の巡航速度が速くなる割には850mしかないので物足りない長さである。
 トンネル情報板。この次のトンネルは道東道有料区間で最後のトンネルとなる。
 広内(ひろうち)トンネル 長さ 940m

   トンネルのすぐ東側をJR根室本線が通っており、特に清水側坑口のそばには広内信号場がある。

 道民としてはどうしてもヒロナイと読みたくなる一面があるが、トンネルも信号場も正しくはヒロウチである。
 広内トンネルを抜けると、新得町内に広がる畑や牧草地を一望する景色が広がる。
 そして、カーブしている地点に明らかなサグ(下り→上り勾配の切り替わり点)がある。道東道の渋滞予測で広内トンネルはしばしば登場する渋滞スポットとなっているが、実際の渋滞地点としてはこのサグである。

 特に2017年の春夏は10kmオーバーのきちんとした渋滞が発生しているほどである。高速に不慣れ傾向なドライバーの性格、地形、道路規格など様々な要因があるが、R274日勝峠の代替措置による無料通行者が多かったのも渋滞に拍車をかけていた。
 上り坂に切り替わる。確かに速度は落ちる。

 追越車線直後のサグとなる対向車線の方が速度変化はだいぶ激しかったりする。

 R274日勝峠は清水-日高を結ぶ峠であり、十勝圏と道央圏を結ぶ道路交通の要所であったが、2016年の台風被害により落橋や土砂崩れが発生、現況把握が困難なほどのダメージを受けた。完全に復旧したのは2017年10月末のことで、1年2ヶ月の間通行止めだったことになる。
 道路幅は確保されるが、謎ポールにより1車線を余儀なくされる。

 R274不通の間、代替路区間として、道東道は十勝清水-占冠内の相互利用に限り料金が無料となる措置が取られた。なお、道東道も台風被害は受けたがR274と比べると軽微で、災害時に一時通行止めとなった程度である。
 緩やかな尾根を越えると清水町に入る。

 十勝清水-トマムはもともと道東道の中でも交通量の多い区間であったが、無料措置の間は更に交通量が増加したが、特に、個人的な視点では特に日勝峠を日常ルートとしていた大型車の増加が顕著に感じられた。こうした結果もあり2017年6月、道東道占冠-十勝清水の4車線化への本格的な検討をはじめるという報道があった。
 見通しのいいカーブ。

  暫定2車線は追越しができないことから、速度変化の大きい車がいると簡単に詰まる。山岳区間で交通量が多くなった場合というのがまさにそれで、道東道では20km以上の渋滞ができることもあった。占冠-十勝清水は開通までに2区間合わせて1000億円あまりの建設費がかかっており、4車線化への事業はかなり大規模なものとなるが、利用者の立場としてはぜひとも実現してほしい課題であると思っている。
 サグを越えてからの追越車線は下り線は1km程度の短いものとなる。上り線が非常に長く快適であるのになぜ。
 E120KP。やっぱり普通のキロポスト。
 [ 7 ] 十勝清水 2km

 トマムから18km、ようやく十勝清水ICの予告標識が登場する。占冠休憩をしていても非常に長く感じる。

 撮影時は順調であったが、特に荒天時は速度がだいぶ落ちる。占冠から45kmとしても1時間近くかかる場合もある。4車線の100km/h制限の高速なら80km相当ぐらいの感覚になる。
 (274)(38) 十勝清水 新得 [ 7 ] 出口1km

 1km標識。清水町の北東にある町、鹿追もこちらから。
 (274)(38) 十勝清水 新得 [ 7 ] 出口500m

 追越車線は現れないが森林と化した豪華な中央分離帯となる。

 清水町はこのインターチェンジの所在地。新得へはR38を富良野方向へ数キロ戻ることになり、鹿追へはR274を選択する。新得町内にインターチェンジを追加するという構想もあるが、実現に向けた話は今のところ耳に入っていない。
 (274)(38) 十勝清水 新得 [ 7 ] 出口

 出口標識のみ架設されており、やや窮屈である。

 十勝清水ICから清水町市街地へはR274を走って約3kmの距離である。道の駅こそないが、コンビニや公園駐車場など休憩可能なスポットは幾つかあるのと、ガソリンスタンドも複数ある。後述の料金体系のこともあるので、道東道を引き続き利用する場合でも一旦下車を考えてみても良いかもしれない。
 [ 7 ] 十勝清水IC

 コンビニ休憩(と、当時は無料措置の恩恵)を目的として再度下車。この先池田ICまでの十勝スカスカスカイロード区間は1995年開通の古い区間だが、占冠方面と料金体系が統合されておらず別料金となる。要するに、ここで下車してもトータルの料金は変わらないのだ。

 区間4はここまで。
下り線 区間3
道東道下り線 区間4
下り線 区間5
3 夕張 4 むかわ穂別 5 占冠 6 トマム 7 十勝清水 8 芽室 9 帯広JCT.
最終更新:2018年2月9日