浦幌町沿岸部を東西に結ぶr1038直別共栄線。
 第3部では、厚内を出て起点のある直別までを紹介する。
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 北海道道1038号直別共栄線 第1部 [終点(R38/R336交点)→浦幌町昆布刈石(R336交点)]
 浦幌市街へ向かうR38から分かれ、延々と広がる酪農/畑作地帯を海へ向かってひたすら走り抜ける。

 北海道道1038号直別共栄線 第2部 [昆布刈石→厚内]
 海が見えてきたらそこが昆布刈石。
 付近を見下ろす展望台から雄大な太平洋を見て楽しんだ後は、越波お構いなしの海岸区間に入る!

 北海道道1038号直別共栄線 第3部 [厚内→起点(R38交点)]
 R38から離れた厚内地区から先も海岸区間は続く。
 十勝管内のほぼ東端となる直別地区に入ったところでR38にぶつかりr1038のトレースは終わりとなる。

Report 3/3
浦幌町厚内

 左折:r1038 直別 R38方面
 右折:r1038 昆布刈石 R336方面 

 厚内駅からr1038に戻ってきた。

 右手には厚内漁港という漁港がある。厚内地区の集落自体は小さいが、漁港の規模でいうと大津や白糠といった他の太平洋岸の漁港に引けを取らない立派なものだ。

 漁港を過ぎると、再びゲートが現れる。第2の海岸区間の始まりだ!

 ここから数キロほど写真のような開けた直線路が延々と続く。

 防波堤直下の道ではないので海水が乗り越えてくることは少ないが、強風と高波で先が霞んで見えている。

 路側に車を止めて海岸風景をじっくり見てみる・・・が、写真を並べてみると1枚上のものとほとんど変わらなかった。

 望遠で撮ると波しぶきで霞んでいることがはっきりわかる。第2部でも触れたとおりこの日は台風一過の吹き返しのあった日、海はまだ荒れていた。

 この海岸区間、第2部で走った区間と違うのは、さほど地形が険しくないというのと、左側にJR根室本線の線路が通っている。タイミングさえ合えば太平洋と道道と特急列車のコラボを楽しむことが出来る。

 同様のシチュエーションはJR室蘭本線とr608大岸礼文停車場線の組み合わせがあるが、あちらは海と道路の間に砂浜を挟んでおりこことはずいぶん趣が異なるようである。

 なぜかこの区間には多数の駐車帯が設置されている。2車線路として確保されているのにここまで待避所を設けるのは越波対策とか?

 左手にあるスピーカーも災害対策だろう。先程の海岸区間より物々しい雰囲気があるのは、おそらく根室本線の線路が通っているからではないかと思う。

 海岸区間は延々と続くかと思いきや、約2.5kmで内陸側にカーブして海からは遠ざかる。

 このカーブの内側にはオタフンベチャシと呼ばれるチャシの遺構が存在する。チャシとはアイヌの築造したいわば砦のようなもので(ただしこれは和人の解釈である)、周囲を壕や柵で囲われた高台あるいは丘陵部からなるものである。オタフンベチャシはこの辺りの白糠丘陵の地形を利用して構築されたもので、お供え餅のような形をしたチャシである。笹で覆われており登るのはやや難儀するが、上からの眺めは良いらしい。

 オタフンベチャシより先は一旦原生林のような森林の中を進む。舗装が直されているところもあり走りやすい。

 雑木林の中にも色褪せた標識がひっそり佇んでいる。これも標柱の部分だけ青色が残ってますね。

 よくあるパターンで、もう一度道道標識が現れる。いい。

 この辺りでもJR根室本線と並走している。左側の藪の中に線路が・・・!

 何もない原生林の中をひた走る。

 微妙なアップダウンの途中に津波浸水予想地域の標識。うっすら下り坂だしそんなに違いないような気がするんだけどなぁ。

 先程のアップダウンとカーブを越えると景色は一気に開け、牧草地が広がるストレートとなる。何となくだけど、十勝管内とは違う雰囲気になりつつあるかも?

 奥に小さく見える案内標識まで一直線!

 左折:R38 帯広 浦幌市街
 右折:R38 釧路 白糠

 画面奥にR38との交差点、つまりr1038起点。急カーブして国道と直角に交わる。

道道1038号起点

 廃ドライブインと牧草地を望む荒涼としたこの場所が、r1038の起点。ここまで来るとほとんど浦幌町の端みたいなもので、少し東に走ると釧路市(旧音別町域)に入る。

 せっかく直別まで来たのでこの先のJR直別駅まで走ってみよう。r1038起点から釧路市中心部までは53km、途中白糠までは25km。

 r1038起点から間もなく、直別川を渡る橋。ここを境に、釧路市に突入する。

 釧路市は2005年11月11日に旧阿寒町、旧音別町と合併した。地図を見ればわかるように旧音別町域は白糠町を挟んで飛び地となっているが、これは同年に白糠町で行われた住民投票で合併反対が過半数となり合併協議会から離脱したという経緯による。

直別

 この信号交差点が直別地区のいわば中心部であり、右折するとJR直別駅に直結する。

JR直別駅

 駅舎は公衆トイレぐらいのサイズ感、実際に手前側のドアはトイレだった記憶で、待合室は奥だ。

 なお、この駅舎は2003年に発生した十勝沖地震で倒壊した後建て替えられたものである。厚内のように古くからの駅舎が部分的に解放されているよりは、こういったトイレ一体型の小さなものに建て替えられているほうが利用者の視点としては使いやすいのではないかと思う。旅行者からの意見は分かれるかもだが・・・。

 駅舎、待合室内部。小さなベンチの上には2人分の座布団。壁には所狭しと並ぶ掲示物。掃除は行き届いており、ドアから差し込んだ西日で中はちょっと蒸し暑かった。

 停車する列車は1日6.5往復。下りは釧路行き、上りは帯広、芽室、新得行きのいずれか。なお、2016年3月のJR北海道資料によると1日平均乗員数は「1〜10名」で、「極端にご利用の少ない駅」のうちの1つであった。

 駅ホームに出る。相対式2面2線ホームからなり、奥に見える古びた跨線橋で行き来する。

 駅名標。駅番号はK43。隣駅は釧路方が尺別、新得方は厚内。

 第2部でも触れたが、直別駅は2019年3月に行われるダイヤ改正で廃止となることが決まっている。

 跨線橋の上から釧路方を眺める。周囲は海から少し離れたなだらかな低地で、湿地や原生林にまぎれて牧草地が点在する。カーブまで視界を遮るものは無く、鉄道写真を撮るにも良い場所だろう。

 駅前に出ると、「湿原のさんぽ道」なるお手製感満載の看板。線路と国道の間に湿原があるとは・・・。直別まで来た時点でこの日の目標は達成していたので、車の中から熊鈴を出し、革靴で歩ける範囲まで行ってみることに。

 キナシベツ木道 見はらし台まで約10分

 ぱっと見新しい看板と板2本分の快適そうな木道。これは気軽なお散歩になるかな?

 1分も歩かないうちに周辺樹木の解説がいくつか現れる。駅を離れ、人気のない木立の中へと道が続いていくのだが・・・。

 サワギキョウの解説板を境に、急に歩道状況が悪化する

 今まで真新しい歩み板2枚だったのに、
 なんか朽ちた色になってません!?

 

 まだ行ける、でも既に嫌な予感しかしない。

 木道の上に伸び放題となった枝をかき分け、サワギキョウから歩くこと十数メートル。

 「あっ・・・撤退撤退です」

 私は歩くのを諦めた。
 というより、木道が倒壊していて歩けない。

 こうして約1分半の「お散歩」を終えた我々は、直別を後にすることにした。

 釧路市の西端に位置するこの駅は、
 2019年3月16日のダイヤ改正を以てその歴史に幕を閉じる。

 これにてr1038のレポート、終わり。

最終更新:2018年12月25日