この道道はよくある「国道がバイパスになっちゃったので旧国道を元々の停車場線にくっつけちゃったよ」的な停車場道道である。しかし、なぜか格下げ区間に接続していた道道に駅前を盗られるという不憫な境遇を持ったなんとも微妙な路線である。

データ

  • 起点:上富良野町中町一丁目(JR上富良野駅)
  • 終点:上富良野町東1線北23号
  • 延長:2.1km
  • 沿線:JR上富良野駅 上富良野町役場 陸上自衛隊上富良野駐屯地
  • 走行区間:全線(起点→終点)、14年8月21日

  • レポート

     上富良野駅

     西神楽からの裏道(道道)ドライブを経て上富良野駅前で悠長に休憩しつつこの先の方針を決定することに。
     どうせ列車の本数も少ないし、改札があれば入れないがしてなかったら入れるしということで駅舎に入ってみた。登山客と思しき人が荷物を置いて駅舎の外にいた。
     ちなみに、上富良野駅は美瑛駅管理の簡易委託駅である。みどりの窓口は設置されているものの、15時に閉まるという銀行窓口並みの使いにくさである。それでもあるだけ良いと考えればいいか。ちなみに駅舎に入った時刻は15時3分であったが、窓口は閉まっていた(人のいる気配はした)。
     入場券蒐集家でもあるあーさー氏(撮影担当)は窓口にギリギリ間に合わないことを嘆いていた。ごめんよ。
     上富良野駅はホームが互い違いに向かい合う2面2線の構造を取る(富良野線自体は単線)。ホームは跨線橋で行き来するが、奥には駅の敷地をスルーする跨線橋もある。

     その頃あーさー氏は駅内にあった自動券売機で入場券を買っていた。そう、切符は買えるのである。
     サッポロビールのロゴ入り縦駅名標が相変わらず渋い。

     上富良野駅は1984年まで荷物取り扱いがあった。当時の航空写真を見るに、駅の北側に農協倉庫(これは現存している)と貨物列車の停車した引き込み線がある。恐らくはそこから農産物を輸送していたのだろう。
     上富良野停車場線起点

     駅前広場から道道の最初の区間を見渡す。さすが北海道、広い。
     トレース開始。左前方にヘキサ発見!

     ここまではよくある停車場線の流れであるが、左のヘキサ、よーく見ると路線名に漢字が7文字しかない。それに路線番号の最終桁が1に見える。

     これは・・・r291吹上上富良野線だ!

     おわかりだろうか。r299は停車場線にもかかわらず肝心の「駅前通り」部分を重複した別路線に持って行かれてしまったのである(基本的に道道標識は重複部を一番若い番号の路線で代表する事が多い)。

     「xx停車場線」と名のつく路線が終点側で別の路線に重複することはありそうだが(その場合は重複区間の始まりが終点になるように変更されることもある)、これはちょっと珍しいのでは。
     左折:r299 富良野
     右折:r291 旭川

     150mほど駅前から直進すると、信号交差点にぶちあたる。この交差点がかつてのR237(1988年上富良野バイパス開通に伴い指定が変更)との交点であり、かつての上富良野停車場線の終点である(停車場線は停車場が起点で、連絡する主要道路との交点が終点となる)。しかし、今は前方を横切る道路は道道に格下げされた。

     ちなみに、googleストリートビューでこの交差点を見るとバイパス開通前当時の標識にヘキサを貼り付けていることがわかる。
     r299は左折し、単独となり上富良野市街を進む。

     吹上上富良野線と上富良野停車場線。文献調査でわかったこととわかっていないことを図に示した。
     現在の道道ルート

     これは国土地理院「電子国土web」で見た上富良野市街の図に少々改変を加えたものである。

     水色の線は吹上上富良野線のルートを示し、緑色の線は上富良野停車場線のルートを示す。駅前から西に進む僅かな区間のみ、両方の道道が重複している(番号の若い路線が優先となるのでルートは水色で示した)。

     駅のド真ん前の道路が番号の若い路線にオーバーラップされるとは、上富良野停車場線も気の毒である。
     バイパス開通以前の道道ルート

     路線指定当初から、吹上上富良野線と上富良野停車場線は共に「2級国道旭川浦河線交点」を終点とされている。しかし、その正確な終点位置がわかる資料は現在見つかっていない。

     まず上富良野停車場線であるが、左上にある緑線のルートがその全貌であったと考えるのが最も節約的である。

     では吹上上富良野線はどうか?

     水色で示した部分は資料こそなけれどほぼ確実にr291であったと言えるルートである(上富良野市街の道道・旧国道のルートは70年代半ばからその形をほぼ変えていない)。
     バイパス開通以前の道道ルート

     問題は、踏切を超えてすぐ西にある交差点から、吹上上富良野線の旧 ルートが北へ向かっていたか(上向き矢印)西へ向かっていたか(左向き矢印)である。

     そして、もし北に向かうルート(現在と同じルート)がバイパス開通以前の道道ルートであったとすると、上富良野停車場線は単独区間を持っていない書類上の路線だったことになる。

     おそらく西に向かうルートだと思うんだけど、そういえるソースが無い。誰か資料くれないかな・・・
     吹上上富良野線旧終点かもしれない交差点に差し掛かる。r299は直進。r581留辺蘂上富良野線はここが終点。
     交差点の様子。ここで左に分岐する道はこの位置では吹上上富良野線ではないが2ブロックほど走ると吹上上富良野線となる。

     国道の格下げに伴う都道府県道の起終点の移動はよくあることであるが、わざわざ停車場線とそうでない路線が駅前で重複するようにルートを改変する(推測であり本当ぁどうかは定かで無い)ことは比較的珍しい。吹上上富良野線がバイパス開通に伴って上富良野駅前を経由するようになった経緯は気になるが、おそらく格下げした旧国道に道道の重複区間を作らないためにあのようなルートになった可能性がある。

     仮にこの位置から北方向にr291を延伸すると、この交差点と駅前通りの交差点の間が両者の重複区間となる(しかも向きが逆)ためである。
     先ほどの交差点をスルーすると丁字路で突き当りになる。その丁字路を左折するとすぐに幅広な踏切が現れる。
     上富良野市街地の中であることに加え、この道路はR237の裏道の1つ、r298上富良野旭中富良野線に繋がったり、十勝岳温泉方面にも接続することから比較的交通量が多い。
     踏切名は「第2旭川浦河線」。旭川浦河線とは、2級国道時代のR237の路線名である。
     旧国道を引き続き走る。奥に見える山は十勝岳。
       直進:r298 十勝岳温泉
     右折:富良野 国道237号

     r298上富良野旭中富良野線との交差点。r299はここで右折する。なお、右折の方面表示に国道マークではなく国道○○号と表示することもたまにあるらしい。

     ちなみに、r298の路線名は「かみふらの/あさひなか/ふらのせん」と区切る。
     市街地を徐々に離れていく。舗装と縁石の荒れ具合に年季を感じるけど、広さは比較的きちんとしてるからやっぱり旧国道なんですね。。
     左側に見えるのは陸上自衛隊上富良野駐屯地の建物。そういえばこの道路センターラインが元々橙色だったのを白点線に引き直しているようにも見える。
     カーブの後、
     右折:R237 旭川
     左折:R237 富良野

     見ての通り旧国道は直進し現国道へとつながっているが、現在はバイパスとの交点があるためカーブして国道と直角に交差する。
     上富良野停車場線終点

     R237に接続する交差点で、見ての通り広い。ちなみにこの撮影位置絡みて右側には、よくある「角地コンビニ」がある。今回の撮影時はここで左折して中富良野方面へ向かった。
    感想
     この道道の撮影時は、「停車場線はまぁ駅から撮って、駅前にヘキサがあって、・・・あとこの路線は旧国道もカバーしてるねー」と、まぁ本数稼ぎ的なノリで車を走らせてきた。

     駅前区間が別の路線と重複しているという思わぬ事実が発覚したのは執筆の時である。地図を見て「あれっ・・・」、そして写真を確認して(走行時は逆光で路肩の標識をあまり確認していない)「あれっ・・・!?」といった具合である。

     ただこの事実以外に特に大きなネタは無かった。ただ、旧国道停車場線は今まであまり撮影したことが無かったので、執筆しつつそのことを改めて実感。踏切名に気付いたあーさー氏も流石といったところである。

     最後に、上富良野バイパス以前の道道終点について、何か情報あれば提供してくださると嬉しいです。

    関連
     特になし。


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    最終更新日:14年9月25日