十勝管内の中心都市帯広と港町広尾を結んだ広尾線。1987年、国鉄民営化直前の廃止から30年余りを経てもなお、鉄道の記憶は様々な形で残る。当たり前のようになってきた廃駅停車場線がここ中札内村にも存在している。
Information
路線: 北海道道321号中札内停車場線
起点:中札内村東三条南3丁目(中札内駅跡)
終点:中札内村大通南3丁目(R236交点)
延長:226m(実延長)
沿線:鉄道記念公園 バス待合所 他
走行:全線(終点→起点) 2018年10月1日撮影
Report

 道道321号終点

 R236を帯広から広尾方面へ。人口4000人弱の中札内村中心部まで来たところで、r321の終点は信号もなくひっそりとした交差点。

 終点側からr321を一望する。左側に見えるのはバス待合所で、道道終点には先程の「そとば」に加え六角形の道道標識も佇んでいる。。

 中札内バス待合所

 広尾線代替となる十勝バスの郊外線となる広尾線(帯広〜広尾)が停車する。

 待合所内部には朝昼夕のみ営業する窓口、時刻表と主要運賃表、トイレや広い待合スペースがある。

 道内の廃駅には代替バスの待合所が駅跡に建設されるパターンも少なからずあるが、こうしてかつての駅から離れた場所にきちんとした待合所が作られるパターンもある。十勝では士幌が同様のパターンだ。

 待合所の反対側にはよくわからない噴水が作動していた。何なんだろう・・・?

 この道道は公園としての整備が積極的に行われているのか、こういうブロック(?)が歩道に埋め込まれている。1年の1/3は雪の下になるのに大した保存状態と凝ったデザインである。

 停車場線を徒歩でトレースすることにする。中札内村市街地を行く道路で、幅も広く歩道もきちんと整備されているが商店などは国道沿いに立地しており、停車場線沿いはひっそりとしている。

沿線に見られるデザイン街灯には中札内停車場線の文字。

 途中、居酒屋チェーンの「鳥せい」とその奥にスーパー跡らしき建物が見える。中札内村では主要なスーパーは市街地よりやや南に離れたマックスバリュで、国道沿いにあり多くの客で賑わう。

 この道道では歩道にベンチまで整備されている。こうなるとちょっとした公園だ。

 道道321号起点

 r321起点は行き止まり・・・ではなく、駅跡の手前で唐突に訪れる。

 歩道のブロックも街灯のデザインも連続しておりちょっと判別しにくいが、左側の街灯には先程と同じ「中札内停車場線」のステッカーが貼り付けられており。右奥の街灯にはそれがないことから起点はその2つの間である。

 次の手がかりとして道路の舗装に切れ目が見られる(オレンジ色矢印)。この切れ目を境に道路脇が宅地から公園敷地となっていることからも、起点(道道と村道の境)がこのラインであることが濃厚だ。緑丸で囲った街灯は村管理のものである。

 駅跡には鉄道記念公園が立地する。

 本来の場所とは異なる位置に置かれたレールと動輪、そして比較的新しい銘板。その奥には信号機となんちゃって鉄道記念要素を残しつつ、奥は手入れの行き届いた草地で高度に整備されている。

 今となっては公園となった中札内駅。日陰に見える休憩所のような建物は貨車の転用であるが、あんまり原型を保っていないので鉄道記念要素としてはややお粗末な印象を受ける。ただ草地の整備とほどよい遊具の配置は遊び場として申し分ない。

 起点から停車場線を振り返る。

 周辺には新しめの住宅が多く、中札内は決して廃れた農村ではない。鉄道が廃止となった1987年以降も人口は若干伸びたし、もともとが農業を基幹産業とする町ということもあり大きな人口減は見られていない。中札内村は移住者の受け入れも積極的である。

 これにてr321のレポート終わり。

最終更新:2018年10月7日