関東平野を一望する筑波山、その麓へ続く「つくば道」。
 第2部後半戦、我々は県道と思えぬ激坂に息を切らす。

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 茨城県道139号筑波山公園線 第1部 [終点(r138交点)→ つくば市臼井]
 筑波山を遠目に眺めながら古い街道沿いを歩く。
 つくば道を示す古い石碑、「道100選」を示すオブジェクトなど。

 茨城県道139号筑波山公園線 第2部 [つくば市臼井 → 起点(筑波山神社入口)]
 県道後半戦。筑波山に近づくにつれ徐々に勾配がきつくなる。
 「一の鳥居」をくぐると遂に舗装はコンクリートに!

Report 2/2
 つくば市臼井。良い感じの県道標識発見。
 第2部はここから画面奥、筑波山山麓の色々建物のある辺りまで歩く。
 臼井地区は低地になっており、道路沿いはごくごく短い間だが農道のような雰囲気になる。すれ違い困難県道いいですよね。
 すぐに古い住宅地に入るが、ここもこれまでと変わらぬ風情。
 ここまで殆ど筑波山に直結する上り勾配を経験していない。

 そして奥に見える観光ホテル群のあたりが筑波山神社なんですが、、、お分かりですよね??
 臼井地区を北上。
 「菊池酒店」のあたりを境に北側が山地、南側は整然と区画された農地(水田)となる。

 県道はここから起点の神社入口までずっと上り勾配となる。
 山地に入っても県道沿いには住宅が立ち並ぶ。航空写真で見るとこの道路は沿線に住宅を並べながら山を直登しており、いかにも古来の参道といった具合である。

 ん・・・今私、「直登」と書きましたよね。
 この辺りの登り坂は緩いので平時ならちょっと体を使うウォーキングレベルだと思う。

 が、撮影日は紅葉シーズンの3連休の中日といういかにもな繁忙期。ファミリー層が乗っていそうなごつい乗用車がなぜかこの道にどんどん突っ込んでくる。
 山登りが続く。私は徒歩だったが、勾配+自動車離合困難区間が続くので、この辺りを抜けようとする車に追いつき追いぬかれを繰り返した。

 このくらいの勾配になってくると追い抜きざまに車の排ガスを食らうようになる。写真ではあえて避けているが、この日の県道は混雑しており離合ポイントごとに車が列をなしている状態であった。都心から少し離れた山地に来てるはずなのに都心より空気が悪いという憂き目。
 秋の深まりを感じる。
 植え込みの感じとか関東らしさありますよね。

 つくば駅から北条まではコミュニティバスで移動したが、その車窓は屋敷林に囲まれた農家や、道路沿いに立ち並ぶ瓦葺きの家々など、関東の原風景に近いものであった。埼玉県北部もそうだが、関東郊外は思った以上に田舎臭い。
 またまた県道を登る車。

 紅葉シーズンにこの県道を通る車が多いの理由は何となく察しがつく。r139は江戸初期に整備された筑波山神社の参道であり、山麓を直登する県道だと書いた。つまり、筑波山神社への最短経路である。カーナビの目的地を筑波山神社付近に設定すると、メインルートであるr42笠間つくば線もしくはこの県道に誘導されるという算段である(恐らくメインルートの混雑を避けて第2候補ぐらいを選ぶとこの路線になるのでは)。
 現に停車中の車をチラッと覗き見ると、カーナビの画面にこの県道を直登するルートが描かれている車が幾つかあった。県外ナンバーの車の場合は、まず間違いなくカーナビに誘導されてこの道に入っている。
 だんだんきつくなる勾配を登ると、道路上に鳥居が現れる。

 鳥居の手前側に十数台程度が駐車可能な市営駐車場があった。車が多い原因の1つはこの駐車場目当てだったのかもしれない。
 一の鳥居

 この石造りの鳥居は、筑波山神社の「一の鳥居」と呼ばれる。この鳥居は1759年築造。たまにあることだが、この鳥居が現在の筑波山神社では最も古いとされる。元々はこの鳥居から上が神域とされていたようである。

 そして道路に注目して欲しい。一の鳥居を境に、舗装がコンクリート舗装となる。それも滑り止めの溝がついた。そして、「どうだ!神域は一筋縄ではいかないぞ!」と言わんばかりの勾配。
 一の鳥居を潜る。

 鳥居の脇で休憩していた時のこと。神域に入るときは神様への合図が必要なのか、車によってはガツンガツンと大きな打撃音を発しながら坂を上がっていく。鳥居の手前で一気に勾配が大きくなるせいでバンパーが路面にぶつかっていた。改造車とレンタカーはここを上がるべからずという啓示である。
 先日の高尾山線にも負けない急勾配。ただ、あの路線と違ってこの道路には沿線に民家が並んでいる。民家の出入口周辺のみ勾配を緩めてあるので道路が波打って見える。
 いやこれすごいですよね。数m先の車を見上げてますよ。
 ここまでの登山を振り返る。ちょっと遠くに見える平野が神郡と臼井、北条はその少し奥に見える小山を越えた先。
 激坂区間をとにかく登る。一の鳥居から先の激勾配区間は長さ約320m、標高差約60m。勾配は約19%。

 ちなみに、かの有名な暗峠は最大勾配37%とか言われている。坂というより崖だろ・・・
 というわけで、この激坂をもう少しご覧頂きたい。
 坂を少し登ったところで道はY字に分かれる。筑波山神社へはここを右だが、その先は自動車通行不能な行き止まり。県道はここを左に分かれるので、いずれここに戻ってくるとして県道トレースのため左へ。
 勿論分岐後も激坂である。奥の民家が見えるところで県道は更に左に曲がる。
 車が出てきたところが県道。

 写真をご覧になって分かる通り、3連休の中日、こんなアホみたいな道にも関わらず突っ込んでくるファミリーカーが少なくない。辛い。

 なお、こんなところにも公共交通機関は行き届いているらしく、坂の途中の民家に「つくタク」という乗り合いタクシーの停留所があった。タクシードライバーすげえよ。
 左折すると一転、おおよそ等高線と並行に走る緩やかな道。
 しかし、この道、狭い。

 高いところから撮影したように見えるが、カメラの高さは身長170cmの私の頭の位置と同じである。道が狭いのである。
 車幅に関する制限標識はないが、幅員は約2m、乗用車でも相当ギリギリ。

 にも関わらず「路肩注意」。いや怖いでしょ・・・
 この辺りからでも関東平野をある程度望む事ができる。
 最狭区間はごく一部。県道はもうちょっとで終わり。
 
 r42交点

 r42笠間つくば線との交点。r139はここから右だが、しばらくr42と重複する。筑波山神社方面へ向かう渋滞が起こっていたんですね・・・
 r42交点からr139を望む。狭い道に県道標識が立っているのいいですね。

 できれば激坂区間にも1本あると良かったが、普通置かれる場所ではないので仕方ない。
 直進:r42 筑西 土浦
 右折奥:駐車場
 右折手前:行き止まり 筑波山神社

 というわけでUターンしてつくば道をたどり、r42/筑波山神社の大鳥居のあたりまで回りこんだ。この先の交差点から筑波山神社手前の行き止まりもr139なのである。
 大鳥居を正面(に近いアングル)から撮影。大きいねぇ。
 ここからは見ての通りいかにも観光地な道路になる。周囲にはホテルなどなどが立ち並ぶ。
 より山に近い駐車場を求める車列が前方に・・・ そして遠い駐車場から参道を目指す登山者もたくさんいる。
 古めかしい文字の「タクシーのりば」。紅葉の造形物も相まって、昔ながらの観光地といった雰囲気。

 歩道もない狭い道を観光バスなどなどが走り抜ける。
 r139起点

 そんな観光地ストリートもごくわずかな区間で、突き当りまで歩くとこのようなUターン路がある。人出が多く県道に関する標示は見つけられなかったが、ここがr139の起点のようだ。
 起点から道路を振り返る。このUターン路は最近整備されたらしく、舗装が真新しい。観光案内板も最近設置されたもののようだ。

 というわけで、r139のレポートは終わり。お疲れ様でした。
Impressions
 後半戦、いや、全線で最も強烈だったのは、
 言うまでもない、あの激坂である。

 神域に入る車両はバンパーを擦ることで神様に挨拶しているのである。きっとそのための坂に違いない。

 ごく300mの区間とはいえ、江戸時代からの参道+コンクリート舗装+民家の並ぶ風景+約20%の勾配、というとってもとっても濃い県道であった。あと狭隘区間に県道標識が設置されているのもいいし、臼井の筑波山+県道標識というコンビも良い。

 北条までのバスは300円(筑波山だと720円)とお手頃なので、江戸時代から続くこの参道を楽しみたい方、格安で筑波山を登りたい方、普通の筑波山登山に飽きた方、是非つくバスに乗ってこの県道を歩いてみてもらいたい。

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 茨城県道139号筑波山公園線 第1部 [終点(r138交点)→ つくば市臼井]
 筑波山を遠目に眺めながら古い街道沿いを歩く。
 つくば道を示す古い石碑、「道100選」を示すオブジェクトなど。

 東京都道189号高尾山線
 この県道の後半戦と同じく登山路線だが、こっちは一般車両が締め出された登山路である。


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最終更新日:16年3月4日