日本最古の神社の1つと言われる諏訪大社。全国にある諏訪神社の総本社であり、太古の昔から多くの人々に崇敬された歴史ある神社である。そんな諏訪大社の境内の1つ、下社春宮に続く県道を紹介する。

Information
路線: 長野県道184号 諏訪大社春宮線
起点:諏訪郡下諏訪町字下馬脇(諏訪大社下社春宮前)
終点:諏訪郡下諏訪町字矢棟(R20交点)
延長:600m
沿線:諏訪大社下社春宮、万治の石仏 など
走行:全線(終点→起点) 2015年9月5日撮影
Report 1/1

 県道184号終点

 下諏訪駅から歩いて1km弱、町内のメインストリート国道20号との交点、春宮大門交差点が道道の終点である。

 余談だが、この日は下諏訪駅から下社秋宮、そして駅付近を通りすぎて下社春宮&万治の石仏、また県道を引き返し下諏訪駅と歩いた(約4-5km歩くことになる)。午前中に上り下りしたr195信濃境停車場線のダメージもありちょっと足がしんどくなっていた。
 交差点には見ての通り立派な鳥居がある。正に神社県道といったところだ。

 鳥居を潜る部分だけ道幅が狭いので大きい車で通過する際には注意を要する。
 徒歩で行く場合は鳥居の横をすり抜ける。すぐに、この県道唯一の県道標識が出迎えてくれる。

 長野県道は県道標識をよく設置してくれている方だと思う。
 下諏訪商工会議所による観光地図では、この道路は大門通りというらしい。

 県道の途中まで清水の流れる用水路が伴っているのがおわかりだろうか。この用水は大門汐といい、下社春宮のすぐ脇で下諏訪の重要河川砥川から引いた水のようだ。
 県道の沿線自体はなんてことのない市街地であり、特に変わったものはない。

 秋宮に続く国道20号沿線に門前町の雰囲気が漂うのとは対照的だ。
 「ようこそ 万治の石仏へ」という派手なお店?はあるが、やはり周囲は閑静な住宅地。  
 途中から県道はセンターラインが無くなる。

 しかしながら、県道沿線の住宅はどれも佇まいが立派な気がした。
 県道を歩き続ける。画面奥、石造りの鳥居がだんだん近づいてくる。
 ここで県道は下馬橋を右側に迂回する。県道上にあるもので言えば、この橋が一番特徴的な構造物なのだが、実はこの下馬橋は非常に古い歴史を持つ。
 下馬橋は、元々(現在は暗渠だが流れている)御手洗川と呼ばれる川にかかる太鼓橋で、かつてはどんな貴人も必ず(馬や籠を下り)、ここで地上に降り立ち、身を清めて神社を参拝するよう決められていたとされる。現在では、半年に1度行われる遷座祭の際の御霊代を運ぶ神輿の通り道して用いられる。

 実は下馬橋は下社で最も古い建造物とされる。建築様式は鎌倉時代、造営は室町時代とも言われる。最後の修築は1741年頃とのことで、それだけでも春宮の幣拝殿(1780完成)よりも古い。
 下馬橋を過ぎると、春宮はもうすぐ。

 「社頭から真直ぐ800m程伸びる道路(=県道含む)は春宮の専用道路で、下社の大祝金刺一族を始め多くの武士達が流鏑馬を競った馬場でした。」と諏訪大社公式HPに書かれている。そんな中で下馬橋は大きな意味をもつ存在だったであろう。
 春宮の境内に入るすぐ手前で、旧中山道・・・ではなく、そこに続く道が右に分岐する。春宮の参拝者用駐車場やタクシー・バス駐車場もこの辺りにあるため、少し人が多くなる。

 ちなみに、春宮と秋宮を行き来する場合は右に分かれる道から旧中山道に合流し、道なりに歩くのが早い。R20&r184を利用するのは遠回りだったりする。

 県道184号起点

 石造りの鳥居を手前にr184は起点となる(たぶん)。写真手前側には手水舎が設けられているので、参拝時にはまずここで手(と口)を清めよう。

 写真中央の鳥居「春宮の大鳥居」は1656年の建立と推定されているらしい。
 境内に入る。境内は見ての通りだが、実際に訪れてみるとやはり気が引き締まる。正面の建物は神楽殿である。秋宮と春宮は建物の配置、社殿の構造は基本的に同様である。
 神楽殿の向こうに幣拝殿がある。祭祀を行う幣殿と参拝のための拝殿を兼ねる建物で、この建物は秋宮と同じ設計図で1780年落成。国の重要文化財に指定されている。また、社殿の周囲に4本の御柱(おんばしら)が建てられていることも特徴的だ。

 諏訪大社の特徴に、幣拝殿の奥に本殿が存在せず、御神木(杉の木)と2つの宝殿(本殿に相当する)がある。それ故、諏訪大社の様式は神社に本殿が設けられる過渡期の状態と考えられている(Wikipedia)とか。
 春宮の参拝を終えた私は、境内の脇から続く小道を歩き、「万治の石仏」を目指す。
 ここは、浮島と呼ばれる中洲である。浮島は下社七不思議の1つで「たびたび氾濫を繰り返す砥川の中洲でありながら、この島だけは大水でも流されることがなかった」らしい。島には浮島社という小さな神社が存在している。
 浮島から再度砥川を渡り、砥川沿いに細道を少しだけ進むと、水田の真ん中に万治の石仏が現れる。

 万治の石仏には色々謂れがある。詳しくはWikipediaや下諏訪商工会議所の紹介ページに譲る。なお、現在ではかの有名な芸術家岡本太郎がこの石仏に感嘆したというエピソードが話題となっている。確かにこの石仏は、なんとも言えない不思議な表情をしているように感じる。

 r184のレポートはここまで。
Impressions
 諏訪大社は、やはりいいところである。

 いいところというより、「凄い」ところと言ったほうが適切かもしれないが・・・

 この県道はかつての馬場跡であったことからもあまり門前町らしさは感じられなかった。というか春宮自体ひっそりしている。

 撮影当時は9月だったので御霊代は秋宮に祀られており、尚更人気が無かった。下諏訪を訪れるのは2回めだが前回は1月でこれも春宮は季節外れであった。
 個人的には、次下諏訪に訪れるなら春か初夏にしたいところだ。

 この県道はわざわざ散策するほどの道路では無いと思うが、春宮は一度訪れるべき場所である(再掲)。あと、都道府県道マン的立場からみると神社県道はレアなのでそれもそれで楽しかった。

Links
 特に無し。


都道府県道レポート一覧へ戻る
蒼の街道トップページへ戻る


最終更新日:15年9月30日