残雪が眩しい4月初旬。
 いつも通り地図上で見つけた「トレースできる道道」にアタックした我々は、予想せぬ道路風景に出会う。
Information
路線: 北海道道801号 樽真布幌糠線
起点:留萌市樽真布町
終点:留萌市幌糠町(R233重複/r550交点)
延長:9,233m(実延長)
沿線:JR留萌本線東幌糠駅跡 他 
走行:全線(終点→起点) 2017年4月9日撮影
Report 1/1

 道道801号終点

 左折:r550 小平
 直進:R233 深川 碧水

 r550幌糠小平停車場線とR233の交点。r801はここが終点で、この先2,141mにわたってR233と重複する。

 なぜここがr801の終点?と思う方も少なからずいるだろう。これには歴史的経緯がある。詳しくは、こちらのブログ記事(おくとん様)を参照していただきたい。
 交差点の様子。r550はここで左。

 留萌市街をパスして小平まで抜けることが出来る。距離的に有利なわけでもなく、またR233→R232は留萌中心部に入る手前で分岐するため、あえてこの道を通るメリットはそれほど無い。
 その後R233を突っ走ると、r1068留萌北竜線が分岐する。

 未開通区間がわずか1-2kmというちょっともったいない盲腸線。
 幌糠周辺は道内でも積雪の多い地域であり、路肩にはまだまだ雪が残る。
 r801単独区間終点

 r550交点から2kmあまり。「そとば」1つだけの地味な交差点。r801はここを左折。

 ちなみに「そとば」標識は左前方追越し禁止標識の下にこっそり設置してある。
 左折してすぐに留萌本線の踏切が待ち構える。

 この踏切のすぐ脇にはかつて東幌糠駅という仮乗降場上がりの無人駅が存在した。利用者僅少により2006年廃止、その年のうちに施設は撤去され今は跡形もない。
 踏切を渡ると道路はちゃんと道道らしい幅になる。割と最近改良された道のようにも見える。
 踏切から間もなく、タルマップ川を渡る。
 道路縁を示す例の矢印の付け根に、いつもの縦長い道道標識。

 周辺の農地はようやく土が現れてきたような雰囲気だ。この辺りは水田地帯である。
 山あいの開けた平地は水田が広がる。絶賛雪解け中、田植えの準備もまだ遠い。
 この先もそうだがまとまった集落は沿線になく、農家が数軒ポツポツと並んでいる程度である。
 この先カーブ・・・と何に警戒すればいいのかわからないが「!」標識が設置されている。
 雑木林と田んぼを分かつ道道は広々としており、走りやすい。

 お察しの通りこの辺りは冬の積雪が道内でも多いエリアである。これだけの幅員があっても冬は雪により窮屈になる状況が少なくない。
 カーブを曲がり終えると今度は幅員狭小と「!」が現れる。いや、「!」はそうやって重ねて使うものじゃないと思うんだけど・・・

 いや待てよく見るとこの先で舗装が途切れているような・・・
 おお・・・、マジか。

 割と予想していない展開だった。

 何も下調べせずに入った盲腸線道道が、
 未舗装区間持ちだったとは。

 これで無駄に思えた「!」の謎も解けた。というか、未舗装になるなら補助標識で説明してくれると嬉しいものだった。
 こうなると農道のような雰囲気がひたすら濃くなる。

 改良工事が進んだ昨今ではこのような平地で狭隘区間は勿論のこと、未舗装区間が現れるのはだいぶ珍しい。
 未舗装区間の沿線には人家もある。

 未舗装区間はほぼ無人地帯or畑だけしかない場所での話だと思っていた我々にとって、この風景は珍しいを通り越して時代に取り残されたかのような錯覚すら覚えた。
 しかし時代の流れはこの道路の沿線にまで及んでいた。

 左側の路肩をよく見ると、木製の細い工事杭が並んでいる。

 そう、改良の魔の手が及んでいる!

 いや、魔の手ではないか・・・
 にしても、未舗装路でちゃんと人っけがある事自体はそこまで珍しくないのだが、これが道道となると話が変わって、本当にだいぶ珍しくなった。
 未舗装区間2軒めの人家が見えてくる。
 未舗装路の路肩にこうやってトラクターが停めてある風景は良さがある。

 個人的には田植えが終わって以降、緑の多い時期にもう一度行ってみたい。
 そんな未舗装ワンダーランドも2回めのタルマップ川橋梁を過ぎると普通の舗装区間になる。
 この舗装区間もだいぶ真新しい。未舗装区間手前の広々した道といい、この道道はごく最近まで未改良だったのか・・・?
 左へ:幌糠 4km
 右へ:5km 樽真布
 ここで市道との交差点。

 左折すると小高い丘を越えてr550幌糠小平停車場線に接続する。実は、r801の認定当初のルートは今まで走ってきた区間ではなく、ここを左折した道である。

 左折した丘越え道から現在のルートに切り替わったのは1993年のことで、それまで現ルートは市道であった(現在は旧ルートが市道降格)。要するに現ルートは道道認定からの歴史が浅いため改良がまだ半ばだと考えれば先程の未舗装区間も納得がいく。
 ここからはr801の旧ルート認定当初から現在まで道道とされている道である。さぁ行くぞ!
 国道233号からどんどん離れてはいるのだが、人気が途絶える気配はまだしない。
 沿線は稲作だったり、たまに牧場があったり。

 留萌市は日本海に面した港町のイメージが強いが、内陸部エリアでは稲作が盛んであり、畜産では肉用牛の生産が行われている。
 雪は一層深くなる。雪の下は水田か牧草地か。
 沿線にはきちんと人の気配。
 古びた警戒標識がこの道路の古さを伝える。

 画面左奥に見える三角屋根の建物の隣には、かつて樽真布小中学校という学校があった。児童数の減少により1992年に廃校となり、その校舎は現在は取り壊され跡形もなくなっている。

 また、認定当初(1973年)、r801の起点はこの樽真布小中学校前に存在した。1987年に現在の位置に起点が移されたとのこと。
 樽真布2号橋。渡るのはタルマップ川ではなく支流の小さな川。
 景色はそれほど変わらないが、確実に山の方へ向かっているはずである。
 道路右側には1kmポスト。

 r801のような盲腸線道道は盲腸側が起点となっていることが多いため、こうしたキロポストは周囲の雰囲気と合わせて起点側未舗装部の有無を知る重要な手がかりであるとともに、撮影ペースの目安ともなる。
 除雪車両方向転換場所

 起点を前に除雪車両の転回場があるようだ。
 広大な転回場を通り過ぎると道路が一気に狭くなるのがわかる。

 道道801号起点

 センターラインが消え舗装が変わる位置がr801の起点となる。起点標識と道道標識がセットになったわかりやすい起点だ。
 せっかくなのでもっと奥に進んでみる。

 走ってみると実感できるが舗装路+αの除雪幅がありがたい。
 r801起点から間もなく周囲の農地は途切れ、雑木林の中を登る簡易な道となる。
 といっても、ガードレールはあるし1.5車線程度のちゃんとした舗装路だ。

 樽真布ダム

 ちゃんとした舗装路が続いていた理由はこのダムの存在にある。

 r801とその先の道路は樽真布ダムの管理所まで続いており、基本的に冬期でも通れる道のようだ。

 盲腸線道道は少なからず起点側の一部が冬期通行止めになる路線があり、実は4月初旬だとトレースできない路線も少なくない。除雪車転回場があり、除雪する気満々のr801は結構ありがたい路線だったりする。
 ダムから戻ってr801起点を逆側から。

 道道標識の路線番号、妙に右上に寄っているのがお分かりだろうか・・・?
 道道標識だけクローズアップするとこうなる。

 路線番号に貼替え痕があるのがわかるだろう。こういう場合真下には旧番号が隠れているものだと思っていた。しかしr801は一度も番号変更されたことのない路線である。

 この標識の話で以ってr801のレポートは終わりです。お疲れ様でした。
 路肩の雪を利用して標識に思いっきり近づいてみたら、その謎は解けた。

 白字で書かれた「8」より左側に、うっすら「3」の数字が浮かんでいるのがお分かりだろうか。そしてその右隣には写真ではわかりにくいが「8」の数字がある。

 察しの良い方ならお分かりだろう。貼替え痕の下には管理番号である「3801」が隠れている。管理番号が記載されたままの道道標識は未だに道内各所に点在しているが、ここではそれを丁寧にも路線番号に直してくれているのだ!
Impressions
 r801樽真布停車場線は未舗装農道という道道には珍しいコンビネーションを繰り広げてくれた道道である。

 樽真布地区は農家そして牛飼い屋さんが点在するのみの寂しい場所であるが、道道起点のあたりでも荒廃している気配はなくまだまだ現役として頑張ってくれそうな地区であるように感じた。
 しかし未舗装区間が舗装される前に夏場の風景も撮りたいですね。水田と未舗装道道のコンボは強そう。

 ・・・と、道路沿線についての話はそのぐらい。

 起点標識のように、路線番号変更を経験していないにもかかわらず貼替え痕のある標識は道内でみればまだまだ存在するのではないかと思っている。管理番号を伏せているのは通にとって残念なことではあるが、わかりやすさを思って対応してくれているのだと考えると道路管理者の振興局・建設管理部に対してありがたい気持ちになるのであった。  

Links
 特になし。


都道府県道レポート一覧へ戻る
蒼の街道トップページへ戻る


最終更新日:17年4月29日