| 長野県道195号 信濃境停車場線 |
起点: | 諏訪郡富士見町境(JR信濃境駅前) |
終点: | 諏訪郡富士見町大字落合字上蔦木(R20交点) |
延長: | 約2.7km |
沿線: | JR中央本線 信濃境駅、井戸尻遺跡 など |
走行: | 全線(起点→終点) 2015年9月5日撮影 |
JR信濃境駅途中猿橋から乗り続けた普通列車(八王子→松本)を下車し見送る。この車両は国鉄115系電車で、長野総合車両センター所属のC1編成である。2015年9月末現在、長野総合車両センターで唯一残存していた115系C編成であったが、2015年11月22日に「ありがとう115系C1編成」という団臨が出るとのことで、その日を以ってラストラン、廃車となることが予想される。 尚、撮影日(2015/09/05)は諏訪の新作花火大会の開催日であり、車両運用などなどかなりイレギュラーな事が多かった。 |
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信濃境駅の駅名票。東京方の隣が小淵沢駅。 | |
駅舎改札の横にレトロな駅名票があった。手書き風の「しなのさかい」の文字が渋い。 | |
駅舎の内部に入り、出札窓口と改札。 信濃境駅は1984年以来簡易委託駅であり、券売機は設置されていない。この駅では切符販売を受託者が販売しており、常備券という裏面の白い券(自動改札機使用不可)を販売している。 JR東日本でも珍しく常備券(補充券も)が常時購入できる駅とあって、切符愛好家には有名な駅だが、受託者が愛好家を嫌い売り渋ることもあるという。使いもしない低額の切符を買うのは確かに変わった行為ではある。 |
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信濃境駅に関する解説ボードがあった。この周辺の線路は1904年(明治37年)開業であるが、駅の設置は1928年であり新しい。 1つ上の画像に関して余談だが、私も切符愛好家氏に頼まれて入場券を購入してきた。当時の受託者は特に疑う様子もなく販売してくれた。青春18きっぷシーズンだったので同目的の客も多かったのかもしれない。 |
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駅舎を出る。平屋建てで少し歴史を感じるシンプルな駅舎だ。 ちなみに、改札の写真、駅ボードの写真、そしてこの駅舎の写真は下車時ではなく停車場線を往復して駅に戻ってきた際撮影している。 |
県道195号起点食堂と観光タクシーという観光地っぽいものがありながらも、飾りっけのないシンプルな駅前広場と県道起点だ。 |
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恒例のセルフサービス地図。信濃境は富士川流域にありながら「信濃」の名が付く。このあたりの山梨県と長野県の境は山脈ではなく川である。 | |
駅前から南アルプス北端部の山並みをバックにダイナミックな下り坂が始まる。 ちなみに、町設置の標高表示がこの県道の沿線に存在した。それによると、駅前広場の標高は922mとのことである。 |
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左折:小淵沢 直進:国道20号 ここで左折するとr17茅野北杜韮崎線に接続する。もともとは旧ルートか支線だったのかもしれない。 |
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交差点にはこんな案内標識が設置されている。視認性は良くないが、古臭くてよい。 国道20号2.5km・・・長い。 |
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駅前を離れると眼前には南アルプスの山々が広がる。あの山々と現在地の間には谷を挟んでいるだけに、その景色は一際雄大に見える。 | |
家庭菜園も高原にあるとなんだか雄大な気分になる。 | |
標高900mまで降りてきた。 | |
この辺りは台地の上にあたるが、稲作も盛んで、ところどころにはこんな水田が広がっている。 井戸尻という名前の遺跡がこの近くにあることからわかるように、この地域は川から離れていても水に恵まれているように思われた。 |
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ひとしきり下り坂を歩いたところで、道路は1.5車線幅に縮む。そうこなくっちゃ。 | |
井戸尻遺跡はこの先の分岐で左に曲がる。県道は右へ。 井戸尻遺跡は八ヶ岳山麓に点在する縄文遺跡群の1つで、如何にも縄文時代といった豪快な土器・鉢が出土している。遺跡周辺は公園として整備されており、出土品は隣接する井戸尻考古館にて見学可能とのこと。 なお私は電車の時刻の兼ね合いと、この地域の道路傾斜の辛さを理由に遺跡の訪問は諦めた。 |
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下り坂はどんどん続く。標高900m、時刻は午前9時半過ぎ。高原の朝は清々しい。 | |
画面左に「そとば」と国道20号の方面を示す案内標識。 「そとば」を見て、あぁここは長野県道なんだなと気分が高まる。 |
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先ほどの交差点で左に曲がって暫く歩くと、道路は再び2車線幅になる。 右側は路側帯が広く取られており、バスや何かの停留所にもなりそうだが、スペースがあるだけでバス停はなかった。 |
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更に歩くと、駅前から続いていた「人里」が一旦途切れる。 ちなみにこの付近で標高は870mとなる。 |
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県道はここで普通の山岳道路に化ける。下りているのに人の気配が無くなるというのは少し変わった感覚だ。 | |
再び、町設置の標高表示。850mというのは駅前から比較して74m下りていることになる。 ちなみに、駅を出て12分しか歩いていないことを考えると、ここまで最低6%-7%の平均勾配となる。うへえ。 |
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道路はここで急カーブ。掘割となっているが、その向こうには先程の台地上の風景と同じく水田が広がっているようだ。 | |
雑木林の中をすり抜ける山岳県道。これが停車場線と言ってもあんまり信じてもらえなさそう。 | |
2回目の急カーブ。右側は5mかそれ以上の高さの壁になっている。 お察しの通り、この県道は台地の縁という名の急斜面をグネグネ下っているのである。 |
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ポイ捨て禁止的な文言の書いてある看板。先ほどの標識といい、ちょいちょい古い。 | |
辺りは雑木林の中だが、この崖のような急斜面は直線距離で200m程度の幅しかなく、撮影地点から南西に100mも進むとそこは谷あいの人里である。 | |
ここに限ったことではないが、この周辺の釜無川(富士川)流域は川の作った低地と八ヶ岳山麓の台地とで高低差が激しく、航空写真で見るとそうした急斜面が緑の帯となって川に平行しているのが見える。 | |
今更感満載の「急勾配」標識。10%の勾配は歩いて下りると関節に負担がかかり、車で下りるとスピードがかなり出る。 | |
またまた急カーブ。狭くはないが、きちんと減速しないと擁壁にぶつかること間違いなし。 帰りはこの内側を歩いて登ったが、下手な石段より辛かった。 |
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先ほどのカーブから少し歩くと、だんだん景色が広がってくる。 | |
道路沿いの木立の隙間から、釜無川の方を見下ろす。トラックが走っているのが今歩いている県道で、画面左側にある突き当りがr195の終点(R20交点)となる。 県道をなぞると結構歩くので、画面右手前にあるあぜ道が手頃なショートカットに見えてしまう(私有地だからダメ! |
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最後の急カーブで段丘崖から離れ、釜無川沿いのわずかな低地エリアに入る。 | |
県道は終点手前でまたカーブするが、あの先が先ほど上から眺めた終点である。ゴールは近い! | |
県道の終点までを眺める。画面右側にある電柱の左横にお馴染みの六角形様がいらっしゃる。 | |
その六角形様=県道標識を表から撮影するとこうなる。標高は727m。富士見駅前の標高が924mであったから、その差197m。グーグル地図準拠で2.7kmの道のりであったことから、平均勾配は7.3%となる。 終点手前と駅付近の勾配が緩いため、先ほどの山岳区間の勾配はもうちょっと大きそうだ。 |
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県道195号終点r195終点。手前を横切る道路は国道20号線。この信号はr195側が感知式となっており、きちんと停車or押しボタンを押さないと信号が変わらない。 |
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先ほどの交差点向かって右側に曲がると、国道沿いにこんな石碑がある。甲州街道の宿場の1つ、蔦木宿がこの場所にかつて存在していた。 ここはその本陣跡であり、現在では門構えのみが保存されている。また、左側の石碑は「明治大帝御駐輦跡」の石碑である。明治13年6月の明治天皇御巡幸で当地で休息なり何なりをした、という内容だろうか。 |
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国道20号線の甲府方から交差点の様子を撮影した。 「上蔦木」交差点の右に伸びるのがr195、その奥には蔦木宿本陣跡がある。 |
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国道の交通量が多く、一瞬の切れ目を見計らってr195を再度撮影。この後、奥に見える「山」を今度は歩いて登り、信濃境駅へ引き返した。実際は段丘崖のような急斜面だが、こうしてみると山にしか見えない。 というわけで、県道レポートはここで終わり。 |
Impressions
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この県道を撮影するきっかけは、1回分が残ったまま放置していた2015年夏の青春18きっぷで1人旅をしようとなったとき、せっかくだから徒歩でトレースできる楽しい県道をと色々検索したことである。 行き先は上越線か中央本線だったが、長野の県道標識設置率が新潟より高かったことからこの路線を撮影した。山梨県内の停車場線を選ばず、わざわざ信濃境まで来たのは、この停車場線にきちんと標識が設置されており、なおかつ歩いて景色を楽しみつつも適当な時間で後続列車に乗り換えられるという色々な理由による。 この県道は「停車場線」タイプの県道には珍しく、標高差が大きい。起点と終点の標高差は200mほどあるが、延長を考慮するとどこぞの山岳路線にも負けない勾配のきつさである。 実際、この道路を往復するのはちょっと大変だった。行きは良いが、八ヶ岳山麓の涼しい気候でも帰りは汗だくになるほど勾配がきつかったのである。今思えばヒッチハイクして駅前まで車に乗せてもらっても良かったかもな・・・ そんな一苦労もあって、この県道は停車場線の中でも結構面白い(トレースし甲斐のある)路線に感じた。 信濃境の常備券を買いに来たあなたも、せっかくなのでせめて井戸尻ぐらいまで県道を歩いてはいかが? |
Links
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特に無し。 都道府県道レポート一覧へ戻る 蒼の街道トップページへ戻る 最終更新日:15年9月30日 |