青春18きっぷで行く冬の停車場線旅。行き先を色々考えた結果がここ伊東線。熱海駅以外で最後に下車した駅がここ来宮駅。そこに待ち構えていたのは、とんでもない初見殺しな県道であった。

データ

  • 起点:熱海市福道町(JR来宮駅)
  • 終点:熱海市福道町(r11/r20交点)
     駅名は「来宮」であるが、県道の路線名は「来の宮」である。こういう表記ブレはあることなので特に考察はしない方針で。
  • 延長:0m(但し、r11との重複区間91m)

     この県道は、単独区間を全くもたない
     単独区間を伴わない路線は(未建設などを除く)存在意義が無いことから廃止されると考えるのが妥当なのだが・・・

  • 沿線:JR伊東線来宮駅
  • 走行区間:全線(起点→終点)、14年12月14日

  • レポート

     伊豆多賀で乗った伊東線上り列車で来宮まで乗車。この後、列車接続の関係で来宮からr104を撮影しつつ熱海駅まで徒歩で移動する。

     県道104号起点

     来宮駅の駅舎を撮影。真っ白な外壁に朱色?の瓦屋根が映える、伊豆情緒溢れる駅舎だ。
     駅前は細長いロータリーになっており、その一角がこの写真に写っている。駅前ロータリーはどちらかと言うと停車場線に含まれないパターンが多く(例外を紹介したこともあるが、大抵市区町村か鉄道会社の管理である)、今回もロータリーを県道とみなすと書類上の路線長と合致しないのでロータリー出口が県道起点と考えて取材している。

     写真には見切れてしまったが、画面右端より少し右側に六角形の標識を見つけた。
     「お、駅前に県道標識発見・・・!」

     11号線・・・うん。


     えっ!???

     お分かりだろうか。駅前にある県道標識に書かれた番号は、当停車場線の「104」ではなく、「11」という別の番号である。
     というわけで、今回は地図を用いて説明する。地図中心にある「来宮駅」の「来」の字の付近が現在地である。この地図(地理院地図)において黄色い線は都道府県道を意味する。この状態では特に来宮駅に向かって伸びる盲腸線などが無いことがお分かりだろう。

     ここで地図にオンマウスすると解説を表示する。r104は地図上に赤矢印で示した、駅前-r11/r20交点までの短い区間とされているが、地図を横断するr11熱海函南線(青)完全に重なってしまっているのである。

     また、私が探した限りr104を示す道路標識などは何も見つからなかった(他の探索者様も同様らしい)。当サイトでは県道が重複して道路上に現れない区間については基本レポートしない(しても大雑把に)ことにしているのだが、こういう事情もあって、重複区間をトレースしてr104制覇という形にしたい。
     駅前ロータリーから東に向かう。この先の交差点について案内標識が設置されている。

     右折:r11 国道135号方面
     左折:r20
     直進:熱海駅

     一番最初(100m先)の交差点までがr104重複区間と考えられる。それでは来宮駅を離れ、トレースを進めよう。
     「フジカラー」の看板が渋いいかにも観光地らしい市街路となる。

     余談だが、未建設や廃道といった理由を除いて単独区間を全く持たない「ステルス」県道は他にももう1本確認している。栃木県道116号足利市停車場線という停車場線であり、静岡r104と同様に別の主要地方道と完全に重複している。しかしながら栃木r116は重複区間上にr116を示す県道標識が設置されており(逆に主要地方道を示す標識が見当たらない)、道路上に全く県道の証がないという意味での「ステルス」とは違っている。

     県道104号終点

     この交差点(福道町交差点)でr11/r20と交わり、r104は終点を迎える。しっかし、歩道狭い。
     交差点から元きた道を振り返る。
     福道町交差点の案内標識を拡大。

     観光地熱海とあってか、いわゆる「そとば」標識も設けられている優遇っぷりだが、r104を示すてがかりは全くない。

     何度目かの記述であるが、ステルスな上に全線上位路線と重複とはこういうことである。
    感想
     現役の路線ながら単独区間が全く存在しない都道府県道というのはとてもレアだという話をしたが、r104の場合は更に「道路上に証拠が見当たらない」いわゆるステルス県道の様相を示す。

     古地形図や航空写真、県道資料集を眺めながら一晩ほど考察してはみた。

     今回歩いた道路が函南方面に接続するようになったのは1949-1962年の間である。また、現在重複しているr11熱海函南線が認定されたのは1967年-1973年の間であり、その前身は旧r1熱海三島線という県道だった可能性が考えられる。

     これらの情報を統合すると、1960年に認定されたr104に対し、1970年前後or1977年(r11の認定時期と思われる期間。)にr11が後出しとなる形でルート変更を伴う重複指定した(本来であれば、旧r1とr104を統合して昇格)と考えるのが節約的である。

     そうすると、

     「この県道、廃止し損ねたんじゃね?」

     という結論に至る。通常、単独区間を持たなくなった県道を重複指定するメリットは無いので、新しい路線の認定に伴い古い路線は消滅して欠番となるのである。

     が、この結論はあくまで推測に過ぎない。真相は静岡県に問い合わせて探ってみない限り同しようもないのではなかろうか。

    関連
     静岡県道107号 網代停車場線
     伊豆名物干物が香る、港町網代の閑静な停車場線。今回のレポートで紹介した来宮駅の隣である。


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    最終更新日:15年5月31日