大樹町の開拓の礎となった「晩成社」跡を訪れ、引き続き酪農地帯を突っ走る。
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 北海道道881号ホロカヤントー線 第1部 [起点(晩成温泉)→晩成社跡]
 ホロカヤントーというインパクトある地名。その正体は太平洋岸の海跡湖。

 北海道道881号ホロカヤントー線 第2部 [晩成社跡→終点(R336上)]
 十勝開拓の祖、依田勉三率いる晩成社はここ大樹町に入植した。
 苦労の歴史に思い馳せ、平坦な酪農地帯を国道に向かって走る。

Report 2/2

 第1部の続きからレポートするが、その前に「晩成社跡」を見ていくことに。ここを右へ入った森の中!

晩成社の跡

 晩成社は1883年に十勝地域へ入植した依田勉三らによる開拓集団で、十勝内陸部の開拓の先駆けであった。その開拓の歴史は壮絶な苦労の歴史であり事業の多くは失敗に終わったが、写真の図のように酪農・畜産業による製品を工場で製造する方式は現在の十勝管内の主産業と断言できるほど根付いている。

 晩成社は依田一行の入植の翌年、1884年にこの地大樹町に牧場を設立し周辺の開拓を進めた。晩成社は1902年までにバター・缶詰、練乳などといった製品工場を設置したが農場経営は上手くいかず、1916年に晩成社は休止、1925年に依田勉三は帯広で死去したのち1932年に晩成社は解散しその歴史を閉じる。しかし彼が残したのは現在の十勝地域で見られる農業産業の基礎と言えるものであり、死後勉三は北海道開拓神社に合祀され、今でもなお十勝開拓の祖として評される。

 晩成社跡の周囲は牧場が広がる。広大な牧草地が大樹町の主産業である畜産業を支えている。

 敷地内には依田勉三の住居の復元されたものが設置されている。質素というより他に無い簡素な小屋である。

 そして室跡が史跡として残されている。

 晩成社の経営は失敗に終わり1932年に解散するが、その製品として現在まで残っていると言えるものが1つある。同じ十勝地域の製菓メーカー六花亭が晩成社の製造していたバター「マルセイバタ」に敬意を表し「マルセイバターサンド」と名付けている。

 撮影は5月中旬。晩成社跡は足元から新緑に覆われる季節。

 道道に戻ってレポートを再開しよう。

 まもなく生花苗川を渡る。生花苗沼に流れ込む川であるが、直線化されており沼には東側から回り込むように注いでいる。

 この先は生花苗川の左岸を通る。

 丘陵に囲まれた平坦な牧草地が広がる。

 生花地区は平地でも酪農が主体で、十勝中部とはまた異なる開放感を見せてくれる。

 8KPを過ぎる。

 時折農場がある程度でほかは何も無い。しかし開拓前まではこれらは全て手つかずの原野だった。

 晩成社の入植はわずか130年ほど前のことである。十勝地域は晩成社を皮切りとして多くの開拓移民らによって開拓が進み、1893年頃には帯広に市街地が形成された。他地域と異なる点として、政府による計画的な入植である屯田兵とは違い民間の移民によって開拓が進んだ点が異なる。

 9KPを過ぎる。

 奥にR336交点が近づいてくる。ここで通学路を示す警戒標識が設置されている。

 右側に生花小中学校が設置されていたが2006年閉校。後に校舎は取り壊され現在は校舎の一部や校門、そして校庭跡などが残るのみである。

 生花地区の集落に入る。

 ここは生花であって、ホロカヤントーのあった「晩成」ではない。このことがr881の奇妙な終点位置指定に繋がっているのだが、それはもう少しあとで触れよう。

 久々の集落とあって何となく落ち着く。晩成からひたすら牧草地と原野だったため?

 左折:R336 広尾
 直進:r319 帯広 忠類
 右折:R336 浦幌

 R336交点の予告標識。帯広方面へは直進してr319生花大樹線に入るのが最速となる。

R336交点

 r881唯一の信号交差点。R336側からしても隣の信号から17km離れている。

 r881は元々第1部で右折した交差点を直進し、晩成地区でR336交点=終点とするルートで指定されていたが、後にここ生花地区を通るようルート変更された。しかし、ここで1つ問題が発生する。終点の字名が変更された場合、道議会の承認を得る必要があるという事務上の問題である。

 ここからしばらくr881はR336と重複する。正確な起点を追いきれなかったためレポートは次の写真で終わるが、すでに単独区間は走破しているということで大目に見ていただきたい。

 先述の問題を解決するために取られた対策がこのR336との重複区間である。晩成地区と生花地区の境目まで約2.5kmの重複区間が設定され、めでたく起終点がともに晩成地区内に設定されルート変更が成立したのである。めでたしめでたし・・・?

 浦河 96km
 広尾 41km

 距離標識。浦河へは広尾町豊似からR236経由の距離を示している。

 この先2kmあまりr881はR336との重複区間として残っているが、写真がないのでレポートはここまで。

最終更新:2019年7月13日