r1060は釧路湿原国立公園内を通り抜ける未舗装持ち路線。
 広大な湿原を展望台から眺めた後は、土煙を立てそこに突入する!

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 北海道道1060号クチョロ原野塘路線 第1部 [起点(r243交点)→ コッタロ湿原展望台]
 釧路湿原の北側に広がる酪農地帯から、東に走りいざ湿原へ。
 特別区域に入る直前、高台には湿原を望む展望台。

 北海道道1060号クチョロ原野塘路線 第2部 [コッタロ湿原展望台 → 終点(R391交点)]
 湿原展望台から先は未舗装。周囲に人工物は無く、平坦な湿原を突っ走る様はサファリパークのよう。
 途中、ゆったりと流れる釧路川が見えるのも良い。

Report 2/2
 コッタロ湿原展望台で釧路湿原を一望しながら軽くブレイク。

 第2部は湿原展望台を後にし、いよいよ釧路湿原内の未舗装区間に突入する。
 第1部の終わりで紹介した看板と、その先にはゲート。
 現地看板は字が小さくとても車から読ませる気を感じないのだが、何とか撮影&拡大してみた。

 この道路は、釧路湿原の生態系の保護を図りながら、出来るだけ現況を変更することなく、維持管理しております。道路の一部に砂利道や路肩の軟弱部分がありますので、安全な走行をお願いします。
 また、湿原の増水時に一部の区間で冠水し通行止めとなることがあります。皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
 北海道釧路土木現業所
 ゲートをくぐる。

 r1060もいわゆる水没道道である。湿原は水はけが悪いからこそ湿原なのであるが、この道路に関しては水没道道と言われると非常に納得の行く地点が先にある。
 先程の看板には「一部に砂利道(中略)がありますので、」とあったが、ゲートを過ぎるとすぐに砂利道となる。一部どころか、終点の塘路までこの先ほぼ全部である。覚悟。
 ゲート後しばらくは木々に囲まれるが、これまでのような鬱蒼とした森ではない。
 砂利道を走り進めると、周囲の木々は徐々に背が低くなり、その数も減っていく。
 左カーブを抜けると見ての通り、まばらに低木が立つ原野となる。

 画面奥の枯れ草になっている部分が、ヨシ-スゲの群落であり、そこが正に湿原である。乾燥化すると通常の草地や笹地となり、木々が生えて森林となる。

 また、こういう区間には車を降りてカメラを構えるネイチャーハンターがちらほら現れる。まぁ車を停めて撮影するのはかまわないけど、気をつけてくださいね。
 湿原エリアをひたすら走る。

 撮影当時は30℃弱、釧路の真夏よりも遥かに暑い1日だった。延々と広がる低木と湿原の織りなす風景は、どこから野生動物が来てもおかしくない雄大な自然を感じさせる。

 そう、ここはサファリパークだ。きっと。
 と考えるも、暑い日の日中ということもあり一番多かった野生生物はアブで、鳥や動物には出くわさなかった。

 余談だが、この辺りから釧路川が左側に見えるようになる・・が、夏は木々が生い茂りほとんど水面は見えない。
 そもそも、この日は晴天で観光日和ということもあり交通量は明らかに多かった。

 レンタカーは勿論、SUV系の車も数多い。やっぱりサファリパークだ。
 また、路面は交通量が多いせいでむしろ荒れている

 轍の重なる部分は細かいながらも深い凹凸があり、車は揺れる、というより大きく振動する。荒れる原理としては圧雪のまま春先を迎えた冬道路面のようなものだろうか。
 ここで、スガワラと呼ばれるポイントに差し掛かる。

 画面左奥、カヌーを引き連れた車が停まっている場所で、車を川岸ギリギリに停められる。カヌーの発着可能地点であり、そこから眺めた釧路川が次の写真だ。
 上の写真がスガワラから見た釧路川。

 画面右側が下流で、ゆったりと蛇行して流れていることがわかる。

 スガワラの路面から川の高さは50cm程度。逆に言えば、50cm水位が上がると道道が浸水する。2016年夏、台風による大雨でこの地点は大きく浸水・損壊し、r1060は1ヶ月にわたって通行止となった。

 スガワラの道路際は土の色が道道本線と少し違っていた、それは復旧工事の跡である。
 引き続き、ガタガタと車を揺らしながら道道を突っ走る。

 相変わらず左側には釧路川が流れているが、ここでも水面はほとんど見えない。
 手付かずの原野がひたすら続く。
 湿原内の特別区間においては、たまに現れる標識、道路端を示すポール以外、人工物が無い

 それでいて、道路は突き当たりまで見渡せるし、脇を見ればゆったりと流れる釧路川か、視界の限り続く湿原とその背景となる丘陵だけである。
 そこで自分が考えていたのは、この道道の真の魅力が発揮されるのは薄明薄暮の時間帯ではないかということである。

 薄明薄暮とは日の出/日の入り前後の時間帯のことである。夜行性と言われる動物の多くは実は真夜中ではなく薄明薄暮に行動するとされるらしい。そういえば、私が道北でヒグマ(昼夜関係なく行動するが、薄暮薄明は活発)と出会ったのも早朝4時半のことである。
 道路は橋の手前で高度を上げ、しばらく連れ添った釧路川を渡る。

 この橋の欄干も、路面も非常に簡素であり、そのクオリティは「立派な林道」という表現がしっくりきそうだ。

 薄暮帯は動物の行動が活発になるとともに、太陽の出入りとともに空の色も闇から朝焼け/夕焼け、青空と目まぐるしく変わる時間帯である。不用意に動物の多い時間帯に移動するのはオススメしないが、準備と心がけをして探索するなら間違いなく昼より印象的な時間になるはずである。
 橋の上から釧路川を望む。

釧路川は延長154kmの一級河川であり、その源流は屈斜路湖である。屈斜路湖より下流は標高121mに対し河川延長100km余りと、非常に緩やかな川である。
 釧路川を渡ると周囲は少し森林っぽくなる。
 久々に高木が立ち並ぶ森。
 なお、r1060はダート路ゆえ、もちろん土煙が立つ。この日は路面に水分が全くなく非常に土の舞いやすい日だったのもあり、対向車が過ぎると一瞬視界が霞むほどである。
 道路は湿原域を徐々に離れる。
 今まで道路のスペックにはあまり触れていなかったが、この辺もよく振動するダート路で、幅は普通車同士がすれ違うには十分といったところである。
 山が近づいてきているのがわかる。

 左側に見える緩やかな山の麓には、サルボ展望台サルルン展望台の2つの展望台が存在する。塘路湖とシラルトロ湖を分かつ山並みであり、R391ではちょっと真面目な峠越えという形でこれを越えている。
 道道といっても信じられないような道だが、実はこの辺りの反対車線に道道標識が設置されている。すごい。
 この先直角カーブの後、踏切。
 踏切手前にはゲートが設置されており、その向こう右側に先ほどと同じ説明の看板が立っている。
 90度ターンの後、JR釧網本線の踏切となる。

 標識は電車だが、もちろんここは非電化区間であり、たまに気動車普通列車と観光列車が通るぐらいである。

 踏切は狭い上に路盤が高いので見通しが悪い。対向車に注意しよう。

 道道1060号終点

 左折:R391 弟子屈 標茶市街
 右折:R391 釧路 塘路駅 

 踏切を越えると、沢山の停止線・・・ではなく注意喚起のゼブラ模様の後、画面奥(止まれ標識が見える)でR39と交差し、終点となる。先程のゲートからマジで100mほどで終点となる。

 これにてr1060のレポート終わり。お疲れ様でした。
Impressions
 r1060の第2部はガチの湿原である。

 しかしながら自然への影響を押さえ、散策を目的とした木道などではなく、この道道は未舗装ながら道路空間として整備された空間である。そもそも道路は交通のための空間であるから、周囲の自然からある程度隔離された場所なのが普通だ。「サファリ道道」と言えども、やはり湿原としての空間を満喫するには道道から離れる必要があると思う。

 釧路川でのカヌー、各所で体験できるトレッキングなどなど、「湿原の中に『お邪魔する』」アクティビティをこの道道の後に付け加えれば、徐々に人里から手付かずの湿原に入っていく感覚を味わえるに違いない。

 そして、r1060は道路線形の割に路面が荒れており走りにくい。

 自然への影響を押さえ、現況を維持するというあの「看板」にかかれていた整備方針そのものであろう。

 ただ、個人的には国立公園区域を走る道が維持されているというだけでも割とありがたいものである。r1060はルートそのものとしての有用性は低いが、未舗装道道ハンティングなり、サファリ気分を味わうなり、それなりに寄る価値はあると思う。

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 北海道道1060号クチョロ原野塘路線 第1部 [起点(r243交点)→ コッタロ湿原展望台]
 釧路湿原の北側に広がる酪農地帯から、東に走りいざ湿原へ。
 特別区域に入る直前、高台には湿原を望む展望台。


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最終更新日:17年8月17日