かつて十勝管内を走っていた広尾線は1987年2月に全線廃止となった。その終着駅、広尾駅はレールが剥がされるも現役当時とそう変わらぬまま残存し、バスターミナルとして余生を送っていたが、2018年6月、老朽化により遂に解体された。

 当レポートでは駅舎解体直前の2018年5月、2017年3月に撮影した広尾駅と合わせて、駅へ繋がる停車場線を紹介する。
Information
路線: 北海道道414号広尾停車場線
起点:広尾郡広尾町丸山通北2丁目(旧広尾駅跡)
終点:広尾郡広尾町丸山通南1丁目(R336交点)
延長:286m(実延長)
沿線:旧広尾駅、鉄道記念公園 他
走行:全線(終点→起点) 2017年3月25日、2018年5月12日撮影
Report

 直進:鉄道記念館
 右へ:R336 帯広 浦幌

 R336をえりも方面から帯広方面へ。十勝港の所在地である港町、広尾の中心部にほど近い場所にr414への分岐がある。

 道道414号終点

 国道は道なり斜め右だが、直進するとr414となり、広尾駅まで一直線に走る。

 中途半端に広い2車線路はなぜか道内の国道沿い集落にとても多いのだが、それがなぜこういう規格なのかは毎回疑問に思っても答えを得ていない。

 沿線には廃商点跡や自動車店があるぐらいで、これといって目立った商業施設はない。

 広尾町で一番大きいスーパーは先程の交差点で左折した先にあり、r414からは少し離れている。

 直進:広尾駅 0.1km
 右折:帯広 81km
 左折:円山通り 0.4km

 渋い距離標識が起点手前に設置されている。正面に見えている建物が、今は亡き旧広尾駅だ。

 起点交差点の手前にはガソリンスタンドが設置されている。

 現役当時は駅前商店などがあったのかもしれないが、画面左奥に見える店は現在閉業しており、ここから徒歩で行ける店舗は先程述べたスーパーか、国道沿いのコンビニとなる。いずれも徒歩5分程度の距離がある。

 道道414号起点

 駅の手前にある町道交差点がr414起点となる。その先は反時計回りの駅前ロータリーで、その内側は駐車場になっている。

 旧広尾駅

 駐車スペースから駅舎正面を望む。なだらかな屋根と小洒落たカラーリングは30年の時を経てノスタルジックな風合いを帯びているが、これがまた往時を偲ばせる良さがある。

 待合室入口の近くに十勝バスとJR北海道バスのバス停が設置されている。

 前者は旧広尾線の代替運行として帯広行きが運行されており、後者は襟裳経由様似行きと札幌へ向かう高速ひろおサンタ号が運行されている。このため、帯広方面からえりもへ向かう旅行者は必ずここ広尾でバスを乗り換える形となる。

 帯広行きバスは毎時1本以上だが、様似行きは1日3往復、札幌行きは1日1往復と便は限られるので旅行者は事前確認必須。

 待合室に入る。

 かつての駅務室は十勝バスの有人きっぷ売り場と広尾線展示スペースとして利用されていた。

 2018年5月の時点では展示は一部のパネルを除いて撤去されていた。その後、町海洋博物館・郷土文化保存伝習館に移設されるという。

 待合室の奥には改札口が当時のまま残っている。発車時刻は空欄で、改札口の向こうに線路はない。

 この建物は廃止以降鉄道記念館という名前がついていた。

 展示は、「ありがとう さようなら広尾線」という言葉を最初に在りし日の広尾線の歴史からスタートする。

 各駅紹介のパネル。蛍光灯焼けが激しい。広尾町は廃線当時1.1万人の人口が存在したが、現在は約7000人にまで減少した。

 展示は部分的にしか撮影していなかった(そもそも撮影OKなのかも不明だったので大丈夫そうなものだけ)。廃線当時のお別れ式の写真などもある。

 なお、広尾線の廃線は1987年2月2日、国鉄民営化のわずか2ヶ月前のことであった。

 改札口は閉ざされていないので外へ出てみる。かつての線路は駐車場になっているが、終着駅を降りる旅人を出迎えたであろう「広尾駅」の文字もそのまま。

 ただし、駅名標は待合室周囲には無かったので注意。

 帯広方を望む。この先の線路用地は今は公園として利用されており、機関車の動輪らしき物体も見える。

 もう1箇所、待合室を経由しない出口がある。普通の出口なのか、あるいはバスへの乗り換え出口なのか。

 なお、広尾駅は廃止時点で単式ホーム1面1線+側線のみであった。

 この出口には到着時刻表示板が現役当時のまま残っていた。到着列車は1日6本、うち3本は様似方面への国鉄バスが接続しており、最終列車は22時台とけっこう遅い。

 この駅舎は、鉄道駅として10年、その後30年余りの長い「余生」を記念館として過ごし、地元住民や最果てを目指す旅人たちを見守ってきた。しかし建設から40年が経過、老朽化には逆らえなかったということだろう。

 

 2018年6月、この駅舎は解体された。

 帯広方には鉄道用地を転用した鉄道記念公園がある。その実ほとんどパークゴルフ場に見えなくもない。

 機関車型のパネルには古びた「鉄道記念公園」の案内。

 
広尾駅は、広尾、新生、野塚、豊似、石坂、大樹、十勝東和、忠類、上更別、更別、中札内、幸福、大正、愛国、北愛国、依田、帯広の17駅、84.3kmを昭和7年11月から昭和62年2月1日まで5554年3ヶ月営業されました。
広尾線は南十勝発展に多大な貢献をいたしました。
ここに広尾線を記念し、鉄道記念公園を建設し、長くその功績をたたえることとします。

 広尾町

 鉄道記念公園には動輪だけが置かれている。公園としての整備状況は良いほうだ。

 なお、静態保存されている車両は広尾駅周辺には存在しない。

 道道レポートに戻ろう。駅舎を背に道路を振り返る。R336は停車場線から引き続き一直線に走るので前方はかなり遠くまで続いているように見える。2017年3月の夕方の写真である。

 駅前にはr414唯一の道道標識が設置されている。なぜか「広尾停車場線」の補助標識がでかいのが特徴だ。

 これにて、r414のレポート終わり。

最終更新:2018年7月14日