北海道の道東にある阿寒摩周国立公園は、火山と湖が隣接しあう地形が手つかずのまま残されている。そんな国立公園区域の一角にあるオンネトーは周囲2.5kmほどの雌阿寒岳を望む美しい沼であり、1本の道道が湖畔を走っている。
Information
路線: 北海道道949号オンネトー線
起点:足寄郡足寄町上螺湾(オンネトーゲート)
終点:足寄郡足寄町茂足寄(R241交点)
延長:6,824m(総延長)
沿線:オンネトー 雌阿寒温泉 他
走行:全線(順行) 2020年5月31日撮影
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道道949号起点

 r664モアショロ原野螺湾足寄停車場線からは林道を経てr949起点に至る。

 道道標識をアップで撮影する。荒涼とした自然林の中に立つ標識は国立公園内という立地もあってか標柱が茶色く塗られている。

道道949号起点

 起点からしばらく未舗装路が続く。本来なら道道に指定されるべき区間ではないような気もするが、標識が立っている以上は指定されていると見ていいのだろう・・・。

 少し走ると、木立の向こうに駐車場と建物が見えてくる。

 風景に溶け込んでおり判別が難しいが、この駐車場の手前にゲートと「雌阿寒オンネトー線」と書かれた標識が設置されている。つまり、今走っている場所は足寄町道ということも言えてしまう。どっちなんだ・・・。

 こちらの駐車場はr949の起点にある駐車場だが、登山客用のスペースと言った意味合いが強い。

 駐車場の一角からは「オンネトー湯の滝」へ向かうハイキングコースの入口がある。

 柵の向こうは鬱蒼とした天然林を歩くハイキングコースである。湯の滝までの道のりは整備された登山道だが、人の気配のまったくない山林であり対クマ装備は必須である。

 オンネトー湯の滝は国の天然記念物に指定された滝で、地上最大の天然のマンガン生成地としても知られている。温泉水が入り水温が高いため外部から持ち込まれた熱帯魚が生息していたが、最近駆除されたという。

 駐車場の脇の道道に戻る。

 地理院地図では駐車場より「手前側」の林道も道道に含める情報が読み取れるが、道路現況の延長から推察するにやはり駐車場脇のゲートが起点と見られる。・・・とすると、最初の道道標識は町道の脇に立っていたことになる。うーむ、何のサービスだろうか?

 駐車場から先は舗装道路となる。センターラインのない1.5車線路とあって制限速度は30km/hとなる。

 撮影位置は右に未舗装路が分岐しており、ここを入るとオンネトー野営場に行き着く。人里離れた国立公園内にあるテントサイトはオートキャンプ不可、キャンプ道具はテントサイト内を歩いて運ぶ必要があるが、森林と湖を楽しむ「野営場」という括りでは道東トップクラスの場所にあると見ている。

 野営場への分岐から先は、オンネトーの湖畔をうねうねと走る道となる。木々の向こうに見える湖水の色がとても美しい。

 オンネトー湖畔を散歩するようにゆっくりと車を走らせる。特に代わり映えしない素敵な景色がしばらく続くが、時折対向車もやってくるので気をつけよう。

 

 

 カーブの手前に湖側にせり出した待避所が置かれている。ここに車を停めてちょっと写真撮影してみよう。

 これがr949から見たオンネトーの様子である。

 正面に見える山は雌阿寒岳で、その裾野に広がる原生林、そしてオンネトーを木々の間越しに一望できる。この先にはきちんと整備された駐車場もあるが、この場所のほうが湖の奥行きがありオンネトーが大きく見渡せる。

 引き続き道道を走る。5月末、道東の山奥もようやく新緑に覆われた頃であった。

 またもや木立の向こうに駐車場が見える。

 駐車場の真横までやってきた。道路の右側には遊歩道のような小さな橋と、写真には写っていないが右側には簡易的な公衆トイレが設置されている。とりあえず、ここでもう一度車を降りてみよう。

 今度は公式の看板付きでオンネトーを堂々と眺めることができる。湖畔に茂る木々がこのテラスにはかぶっていないので、景色は非常に広々としている。

 先程見えていた雌阿寒岳は左側に見えており、右側には阿寒富士を見渡すことができる。雌阿寒岳と阿寒富士はそれぞれ1,499m、1,476mの標高を誇る活火山で、オンネトーは雌阿寒岳から流れ出た溶岩が螺湾川の流れをせき止めたことにより生まれた(堰止湖)という。

 看板の写り込まない位置から湖を眺める。

 5月末のお昼前に撮影したこの当時、湖の色は鮮やかなエメラルドグリーンを主にしていた。オンネトーは五色沼の異名を持つが、これは時間帯や角度により湖の色が様々に変化するからだと言われている。撮影当時は水面が波立っていたが、早朝など風のないタイミングで訪れると対岸の山々を鏡のように写す神秘的な様子も見られるという。

 展望デッキには周辺の登山道についての案内板も設置されている。

 雌阿寒岳登山のルートは先程通り過ぎたオンネトー野営場、この先の雌阿寒温泉、そして阿寒湖温泉そばのフレベツ林道という3つの登山ルートがある。前者2ルートがこの看板には掲載されているようだが、どこから登るかはこんなところで確認するのではなく予め計画を立てておくべきである。

 デッキ脇の道道からはオンネトーと雌阿寒岳をこんなふうに眺めることができる。r949のハイライトともいえる景色だろう。

 その後も湖畔をくねくねと走り進める。

 駐車場がもう1箇所設置されている。先程の場所よりはこじんまりとしているが、湖畔まで降りることもできる。

 オンネトーの湖畔には人工物はない。更に、非動力船を含む全ての船の乗り入れが禁止されている。先述の湯の滝などを始め近隣から温泉水が流れ込む影響で魚が生息していないため、釣り人も居ない。こうしたこともあってか北海道三大秘湖の1つとしても有名だったりする。

 待避所が設置されている場所もあるが、普通車同士ならなんとかすれ違いできたりする。

 奥のカーブからは上り坂となる。ここでオンネトーを離れるが、道道はR242へ向かって続いていく。

 先程のカーブを曲がると、道路は2車線となる。湖畔までこの幅員で整備されてないのが厄介なところでもあり、オンネトーを秘境湖たらしめているr949の遊び心であったりする。

 基本的にはヤクモノもない山中が続くが、この付近では道路の右側に錦沼という沼がある。

 錦沼は天然の褐鉄鉱が産出される沼であり、鉄さびのような赤茶色をしている。

 ここでもう1箇所ゲートが存在する。雌阿寒ゲートというゲートだが、これより手前側は12月〜4月の間、冬期通行止めとなる。つまり、オンネトー湖畔に車で乗り入れられるのはそれまでの時期限定なのである。

 なお、写真右側の駐車場は雌阿寒温泉のものである。国民宿舎の温泉宿と日帰り入浴施設が存在する。

 雌阿寒温泉から先は通年通行可能だが、起点まで特にスポットはなくひたすら山を下るのみである。

 雌阿寒温泉にはかつて「景福」という民宿があったが、2014年に入浴中の客が硫化水素ガス中毒になる事故が発生し、それ以降現在まで休業している。

 ひたすら下る道が続く。

 道路は西向きに向きを変える。遠くに見える山並みは足寄町内の名前のない山林だろうか。

 雌阿寒岳が近いことからここも釧路市内であるような錯覚を覚えるが、じつはオンネトーもr949もすべて足寄町内に収まっている。足寄町は2005年1月まで日本最大の面積を持つ市町村だった。その面積は1,408平方km、平成の大合併でいくつかの市に抜かれたが、それでも日本第6位の面積を誇る。

 見通しのよいストレートが続く。反対車線からは見通した先に雌阿寒岳を見ることができる。

 新緑の気持ちいい季節だ。

 起点交差点を前にちょっとカーブする。

 左折:R241 帯広 足寄市街
 右折:R241 弟子屈 阿寒湖

 r949起点の交差点が近づく。目の前を横切る国道はR241で、帯広市から上士幌・足寄・阿寒湖を経て弟子屈町へ至る。

 左折すると40kmほど単独区間を走った後足寄市街へ至る。右折すると15km足らずで阿寒湖温泉街に到着し、弟子屈町までは50km程度である。

道道949号起点

 R241交点。レポートはここまで。撮影当時はr664と林道、r949を利用してここまで来て同じ道を引き返した。

 なお、帯広市までは足寄からR241経由でもR242経由でもさほど距離は変わらず、その距離は100km余りである。札幌方面へ抜ける場合は道東道利用か、士幌からR274を西へ進んで清水or新得へ抜けるのが近道である。

最終更新:2020年9月27日