中央環状線内回りの区間1。2015年3月に開通した出来たてほやほや区間を通過。山手トンネル、半端ねえ。

首都高速 C2中央環状線(内回り) レポート
中央環状線内回り 区間2 → 中央環状線内回り 区間1 → 首都高速湾岸線西行き 区間2
首都高速湾岸線東行き 区間3
板橋JCT 熊野町JCT
C26 西池袋
西新宿JCT
C23 初台南
大橋JCT
C21 五反田 大井JCT
C18 中環大井南
首都高速湾岸線 羽田方面
   同   上   葛西方面

レポートについて
 取材日:15年3月14日
 初台南から大井まで中央環状線内回りを1周+αした(1周目でトンネル内の撮影に苦戦したため)。
 全体では初台南→大井(2回目)JCT→有明JCT→芝浦PA休憩→銀座・箱崎経由堀切JCT→大井JCT→大橋JCT→神田橋。
 走り過ぎた感は否めない。

 なお、今回の撮影はほとんど据え置きカメラで撮影している。
 中央環状線の写真はカメラの発色設定をミスってしまい全体的に画像補正を加えている。

レポート(区間1)

 西新宿JCT

 本線:C2/3号  東名
 右へ:4号 高井戸 中央道

 内回り最終編、「区間1」はここから。
 西新宿JCT付近からトンネルはシールド区間(断面が円形)となる。中央環状線の下を潜る都市インフラが大橋JCT手前の東急田園都市線まで存在しないこともあってか、かなりの下り勾配で地下深くへ潜る。
 時折、待避所が設置されているが、これはトンネルの「立坑」に該当する箇所と思われる。

 中央環状線における立坑区間はシールド工法と開削工法の接合部だったり、シールド区間の途中ではシールドマシンの発進立坑などといった目的で建設されている。立坑は道路開通後において換気塔として用いられる場合が多いが中央環状線の場合、換気塔は立坑と独立して存在している事が多い。
 しっかし、トンネル信号が多い多い。

 筆者の予想であるが、恐らくこの辺りで京王線の地下トンネルと交差している。京王線の真上にはR20甲州街道と首都高4号新宿線が走っており、都心と八王子方面を結ぶ重要ルートの1つが集中している。
 [C22]富ヶ谷 出口 1km

 ここで、次の出口である富ヶ谷の予告標識。
 100m先 車線変更禁止
 富ヶ谷出口 右車線へ

 奥に見える照明の明るい区間は4号線からの合流だが、この先1km弱の間に右側合流2回(西新宿JCT、初台南入口)と右側分岐1回(富ヶ谷出口)が存在するという厄介な構造をしており、交通をスムースにするため車線変更禁止が続く。
 ここで4号線からの合流。

 西新宿JCTは4号線に関して中央道方面から/への出入りしかできないハーフJCTとなっている。したがって、ここで合流してくるのは中央道方面からやってきた交通のみだったりする。
 合流が終わってもトンネル照明はナトリウムランプとLEDの合わせ技という明るい仕様のままだ。
 次に、初台南入口の合流。撮影当時、東新宿でカメラ操作担当と同乗し、初台南から首都高速に入ったため、ちょうどこの地点で中央環状線を反時計回りに1周したことになる。
 [C22]富ヶ谷 出口 300m

 再度、次の出口である富ヶ谷の予告標識。青地に白文字の方面案内が付設されていないが、出口付近の富ヶ谷・駒場地区は勿論、渋谷や池尻、目黒あたりまでのアクセスはこちらから。

 なお、300m手前でようやく左→右への車線変更禁止が解除される。富ヶ谷出口を利用したい場合はこの地点ではなくもっと手前(1km予告標識のあたり)で早めに進路変更するのが安全だろう。
 [C22]富ヶ谷 出口

 玉川通り(R246)、渋谷はこちらから。
 富ヶ谷出口を通過。さぁ、トンネル内をどんどん走り進めよう。

 トンネルが画面奥で左にカーブしているのが画像から伺える。この地点はちょうど山手通りが東京大学のキャンパスを避けるようにカーブする地点であるが、中央環状線はこの地域において当初、山手通りの真下を忠実になぞることが設計・技術上不可能であり、ショートカットルートとなる東大のキャンパスの直下を走行し大橋JCTで3号線に接続する予定だったらしい。

 当時の道路公団はそのための用地買収・補償なども進めたとのことだが、技術の進歩と工法の見直しにより大学の地下深くを走るよりも山手通りの真下をシールドでなぞったほうが(既に払った金額をチャラにしても)建設費が安いという結論に至り、山手通りの真下を走る現在のルートに変更されたとのことである。
 分岐 1.3km
 直進:C2 B 湾岸線
 右へ:3号/C1 都心環状 東名

 ここでトンネル形状に合わせたお洒落な予告標識!西新宿JCTの予告標識と形状自体は同じだが、こちらはLED照明による内照式であり、今までの標識よりも一際眩しく近未来感に溢れる。

 そんなこともあってか、中央環状線山手トンネルはこの先大崎駅付近での山手通りから目黒川直下に移行するポイントなどごく一部を除いて、道路か河川の直下を通っている。
 分岐 500m
 直進:C2 B 湾岸線
 右へ:3号/C1 都心環状 東名

 しかし結構深く潜ってませんかね・・・

 直進:C2 B 湾岸線
 右へ:3号/C1 都心環状 東名

 しかし、肝心の分岐はカーブの先で見えない。

 この先大井JCTまで開通したのに伴い、路面の標示に「空港中央」と書かれている。文字幅を決める「下書き」の線がうっすら見えることからこれはド新品だ。
 左カーブしながら右にランプが分岐する。

 大橋JCT

 本線:B/C2 湾岸線
 分岐:3号/C1 東名 都心環状

 ここで、3号線へ合流する大橋JCTのランプを分岐する。
 大橋JCTと言えばもうお分かりだろう。あのループ構造である。3号線とC2の高低差約70mをカバーするために合流路は加速器のような巨大構造物の中でほぼ720度(2周)ループする。構造物自体は3号への合流路とC2への合流路が段違いに各々2ループ、計4層構造からなっており、景観などに配慮してか施設の外観は公園になっている。

 首都高株式会社よ、やりすぎだ
 と言いたくなるほどその設計はすさまじい。
 この先、2015年3月に新たに開通した区間となる。

 うーん、高まる!!!

 断面に注目すると、本線は大橋JCT分岐で一旦箱型の断面をした後、この画像の位置から円形に戻っている。これは、これまで走った新宿線は先に開通した大橋JCTの合流路と引き続き掘削された一方、新規に建設された品川線本線は新たに横付けされた箱型のトンネルに収まっていたためである。

 見ての通り、画像の位置から再びシールドトンネルとなるが、このシールドトンネルは新宿線とは別物である。後に述べるが、品川線本線の掘削は大井JCT-大井北立坑と北品川-大橋JCTの2区間に分かれおり、この地点は後者の掘削終点に当たる。
 ここで3号線からの合流。大橋JCTは奇妙奇天烈な形状をしているがフルJCTであり、都心方面からの交通と東名方面からの交通の両方が合流可能である。

 勘の良い人なら気付くかもしれないが、この合流部のトンネル断面がこれまでの区間(新宿線区間)より明らかに滑らかであるとともに、開放感がある。これは、2本のシールドトンネルを地中で一体化させているためである。

 ちなみに2本のシールドとは、現在走っている品川線本線シールド(北大井-大橋)と右から分岐してくる大橋連絡路トンネル(延長500m)の2本である。外回り線でも同様の構造をしている。
 それを裏付けるのがこの断面である。オンマウスで推定される2つのシールド断面を解説する。

 シールド同士を地中で一体化する工法はここ大橋JCTの大井側合流部が高速道路初である。

 新宿側分岐部では同時に開通したC2新宿線本線→大橋JCTランプが1本のシールドとなっており、大橋JCTを通過する品川線本線は一旦箱型の構造物(恐らく開削工法だが調査不完全で断定できず)に収まり、分岐部を過ぎた後シールドとなる。これは既存のシールドトンネルに横付けする形で本線トンネルの箱(品川北立坑を出発した本線シールドの掘削終点でもある)を建設し、シールドの壁を取り除くことによって実現しているという点で別の工法である。

 大橋JCTを通過後、しばらくヤクモノは無いが、この先の中目黒換気所まで下り勾配が続く。。
 距離にして1km余りだが、トンネルの深さは約19mから30m、地上の標高も数m下がるため単純計算で1.5%程度の下り勾配が続く。

 なお、この辺のどこかで内回り線と外回り線が地中でクロスし「右側通行」状態となっている。
 下り坂の終端が見えてきた。
 この地点にトンネル信号と待避所。ここが恐らく中目黒換気所にあたる。

 ここまで画像を見て、大橋JCT以降ずっとシールドトンネルが続いていることがお分かりだろうか。実は、大井JCTの手前に1箇所の立坑(大井北立坑)が存在する以外、大井-大橋間の本線に立坑/開削区間は存在しない。特に、大井北立坑-大橋JCT間の約8kmは1機のシールドマシンが掘り抜いた区間として日本史上最長である。
 「本日事故多発!運転に集中 本牧JCTまで30分」

 五反田出口までゆるい上り勾配となる。先ほどの下り坂で加速した車も若干減速するため、車間に気を使おう。
 [C20] 五反田 出口 500m

 大崎、国道1号はこちらから。

 出口の予告標識においてもトンネル断面に合わせたスタイルのお洒落な標識が採用されている。トンネル内壁が真新しく、青緑色の光をぼんやり反射させているのも未来的で美しい。
 [C20] 五反田 出口
 次は 大井JCT

 品川線区間は出入口の数が少なく、実は出入口ともに五反田の1箇所しかない。
 五反田出口分岐部。

 今までの出口と違って、左側分岐になっている。これを実現させるために、内回り線と外回り線の位置を逆転させ、地上道路右側の真下にある高速本線から地上道路左車線の右側にランプを接続するという構造をとっている。面倒だけど気の利いた設計だ。

 なお、この地点は比較的浅い位置にあり、出口ランプも短い区間の開削で済んでいる。
 五反田出口。今までどおり、山手通り内回り車線へ接続し、五反田駅周辺やR1桜田通り/第二京浜へのアクセスが楽。ちなみに出口を出てすぐの位置で2号目黒線と交差する。
 再びトンネルは地下深くに向かう。なお、この辺りのどこかで首都高速2号目黒線と交差しているが、当然ながら接続はしていない。

 2号目黒線は渋滞もめったに起きないため空気扱いされる路線な気がする・・・
 この先南品川換気所(トンネル深さ40m以上,路面の深さ55m)まで下り勾配。

 南品川換気所付近が山手トンネル最深部となる。首都圏外郭放水路(深さ60m)よりは浅いが、都営地下鉄大江戸線六本木駅(42.3m)より10m以上深く、23区内で一般人が立ち入る事のできる地下施設としては最深の部類に入る。
 おそらくはこの辺りで南品川換気所?

 この辺りでは既に山手通り直下ではなく目黒川直下を走行しているはずだ。そうした設計にしているのは、この先の山手通りが鉄道との交差の関係でかなり曲がりくねっていることによると考えられる。シールド工法で半径の小さいカーブを描くのは相当困難なのだろう。
 分岐1.6km

 直進: B/1号 横浜 [C18]中環大井南
 左へ: B/11号 東関東道

 トンネルを走り続けて約17km。大井JCTが近づいてきた。
 千鳥町まで20分
 湾岸環八→浮島JCT 断続渋滞2km

 浮島JCTってそんなに混雑するんだっけ?
 先ほどの1.6km手前予告標識以来ひたすら上り勾配が続いている。カーブもそこそこなので、加速しようにもしきれない状況がたまに。
 分岐 500m

 直進: B/1号 横浜 [C18]中環大井南
 左へ: B/11号 東関東道

 トンネル出口が見えてきたところで、500m手前の予告標識。久々の地上はもうすぐ!!!

 勘の良い方なら気付くかもしれないが、この辺りで立坑区間を挟んで、トンネルのシールド径が大きくなる。立坑の名前は「大井北立坑」といい、大橋JCTから大井北立坑までが1機のシールドマシンで連続して掘削された部分、そして大井北立坑からトンネル出口までは別のシールドマシンで掘削されたトンネルとなる(掘削された向きは、出口→大井北)。

 残念ながら、立坑区間の写真は取り逃していた。
 直進: B/1号 横浜 [C18]中環大井南
 左へ: B/11号 東関東道

 山手トンネル走破!!

 羽田空港は直進して横浜方面へ。路面の標示には空港中央と書いてあったが、標識では羽田を示す案内はここが最初で最後なので気をつけよう。

 先ほど触れた掘削区間に関して、トンネル出口から立坑に向けてシールドマシンで掘削(シールドマシンの地上発進)というのも実はすごい技術の塊だったりする(当初は開削で建設する予定だった)。これも、開削工法を使わず地上への影響を抑えるための工夫の1つといったところである。

 大井JCT

 直進:B/1号 横浜 [C18] 中環大井南
 左へ:B/11号 東関東道

 湾岸線と中央環状線の第2の交点である大井JCTに到達。長かった・・・。

 大井JCTからは湾岸線東行きと西行きの両方へアクセスが可能。トンネルの坑口が近くアップダウンは複雑だが、構造自体は普通のトランペット形JCTとそこそこシンプル。ただし、従来から存在する1号-湾岸線連絡路(羽田方面-芝浦方面のみ)と西行きの大井南出口に加え、中環大井南という中環のランプから直結する出口が併設されている。ジャンクションの模式図はこちら(首都高公式)
 今回は都心方面に戻るため湾岸線東行きへ向かう。真新しい金属製フェンスでガードされたランプ路の先に、湾岸線との合流部が見える。
 中央環状線/湾岸線合流部

 ここで1車線のランプと湾岸線の本線が合流。奥に見える橋梁は湾岸線のレポートでも紹介した道路橋と貨物線・新幹線引込線の橋梁である。

 これにて中央環状線内回りのレポート、完結
首都高速 C2中央環状線(内回り) レポート
中央環状線内回り 区間2 → 中央環状線内回り 区間1 → 首都高速湾岸線西行き 区間2
首都高速湾岸線東行き 区間3
板橋JCT 熊野町JCT
C26 西池袋
西新宿JCT
C23 初台南
大橋JCT
C21 五反田 大井JCT
C18 中環大井南
首都高速湾岸線 羽田方面
   同   上   葛西方面
首都高速中央環状線 目次

関連ページ

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 当該部分の工法の参考としている。

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 首都高速湾岸線 目次
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 最終更新:15年6月13日