道央を東に走った道東道は夕張からいよいよ山間区間に入る。
 有料区間最後の開通となった夕張〜むかわ穂別を含むこの区間、上川地帯最南端の村、占冠までひたすら何もない。
下り線 区間2
道東道下り線 区間3
下り線 区間4
1 千歳東 2 追分町 3 夕張 4 むかわ穂別 5 占冠 6 トマム 7 十勝清水

Discription
 取材日:2017年8月6日
 夕張IC→音更帯広IC→(一般道)→池田IC→白糠IC

 夕張市内の道道を撮影してからの、真夏の道東道撮影。
 観光ハイシーズンではあったが、お盆の1週間前の土日とあって渋滞どころかむしろ普段より空いていた。
Report / Section.3
 [ 3 ] 夕張IC

 区間2以前と撮影日は変わって2017年8月。夕張ICからの利用となるため、レポートは料金所から。
 帯広方面へ入る。

 インターチェンジの形状は平面交差を伴うY型である。
 グルっと回って本線へ。動物注意の標識が迎えてくれる。
 [ 4 ]むかわ穂別13km
 [ 5 ]夕張33km
 帯広114km
 区間3に該当する部分は占冠までの約33km。IC間距離は長すぎるわけではないがIC以外休憩施設などは一切無いため、延々と走るのみである。  
 本線はちょっと高いところを走っている。橋梁からは紅葉山地区がそこそこ見える。
 トンネル情報。特に表示される情報はなく。

 ここで中央分離帯を見ると、センターポールではなくワイヤーロープが採用されている。対面通行区間での安全対策として現在試験的に導入されている。
 久留喜トンネル 長さ 480m

 夕張IC通過後最初のトンネル。ワイヤーロープ試験区間はトンネルの手前で終了する。
 トンネルを抜けると風速と気温の情報。この日は気温26度、北海道の夏らしい爽やかな暑さだった。

 夕張エリアは道東道沿線地域では雪の多い地域である。路面の見えにくい夜間は温度も参考にして安全な運転に務めたい。
 またまた橋梁。このあたりで夕張市楓地区をまたぐ。

 かつてはこのあたりも北炭の炭坑が存在し、住宅や炭坑施設が立ち並んでいたが、今では山間の小さな集落と集合住宅が国道から少し離れた沿線にあるのみだ。
 「この先、トンネルが続きます」

 トンネル予告。楓トンネルと大夕張トンネル、2本のトンネルが連続する。
 楓トンネル 長さ 1960m

 2本めのトンネルは、楓地区のお隣、登川地区をパスする楓トンネル。
 トンネル内は夕張以前より綺麗になったかなあという程度で、薄暗く単調でセンターポールしかないことに変わりない。
 楓トンネルを抜けると、そのままシェルター区間を経て大夕張トンネルに突入する。

 長さは4,170m、道東道では第3位の長大トンネルとなる。
 トンネル内壁面には1kmごとに左側のような距離表示と、非常口位置表示がなされている。

 なお、写真奥に勾配の変わり目が見えているが、そのもう少し先でむかわ町に入る。こちらも左壁面に大きく境目の表示がされているので見ものである。
 トンネルを抜けても相変わらず山岳区間。
 追越車線 1.5km先

 追越車線区間が近づく。撮影時は前方車両が見えなかったのでそれほどでもないが、交通量の多い場合には待望していたドライバーも多いことだろう。
 [ 4 ] むかわ穂別 2km

 大夕張トンネル以来、ずっと下り坂が続いている。この直線区間もワイヤーロープが試験的に設置されている。
 インターチェンジに近づくも全く人家の気配がない。
 (274) むかわ穂別 [ 4 ] 出口 1km

 予告標識。接続する国道はR274だが、約3kmほどインター線道道を挟んで接続する。
 追越車線 長さ 3800m

 3800mは破格の長さ。低速車がいるなら先行するチャンスだが、ここから上り坂になるので車によってはきついかもしれない。
 (274) むかわ穂別 [ 4 ] 出口 500m

 道路は快適な4車線の姿をしている。
 むかわ穂別出口 料金精算機運用中

 2018年1月現在、道東道で唯一料金精算機が運用されている。他に道内では伊達、登別室蘭、恵庭で利用されているとのことだが、何かの基準があったのか、あるいは機械更新の順番なのかよくわからない部分がある。
 (274) むかわ穂別 [ 4 ] 出口

 むかわ穂別ICはこちらから。
 [ 4 ] むかわ穂別IC

 地図で見るとR274より3kmほど北に走った場所であり、旧穂別町市街への最寄りICとなるが、R274が道東道より大きく南に迂回している都合上、札幌方面から穂別へのアクセスは、夕張ICからR274を利用するほうが料金的にお得となる。

 周囲は集落どころか人家もかなり少なく、国道からのアクセスもやや距離があるとのことでいまいち使い勝手の悪い出口であるが、吹雪や事故での通行止め時に少しでも道東道を走れるという意義はある。
 入口車線からの合流。追越車線もきちんと残っているので快適だ。
 風速 2M
 気温 27℃

 気象条件は特に変わらない。前方に分厚い雲はなくとりあえずトマムあたりまでは良い天気で行けそうだ。
[ 5 ]占冠18km
[ 6 ]トマム44km
  帯広99km
 距離標識。E58KPが隣に見える。

 帯広市街までの距離はこのあたりで約100kmとなる。
 管理用車両の出入口。

 航空写真で見ると、ここを降りるとループして反対車線に繋がる構造になっていた。
 追越車線が終了する。

 ここから占冠IC付近まで追越車線は現れない。SAPAの類もなく、緊急回避帯ぐらいしか逃げ場はない。覚悟を決めて走り抜けるしかないのである。
 またまた対面通行。

 ここもワイヤーロープである。
 ワイヤーロープ区間では対向車はワイヤー越しに見える。ガードレールと比べると緩衝性能は劣るだろうが、対向車と隔てられている感覚はセンターポールと比べると段違いで、安心感がある。

 これが夜間になるとポールが大きく間隔が気持ち狭いことから、通常の区間と比べると大きく違った感覚となる。
 「この先トンネルが続きます」

 長和トンネルと穂別トンネルが待ち構える。利用者向けの標識で「TN」という省略表記が使われているのも面白い。
 長和(おさわ)トンネル 長さ 1540m

 コンパクトなトンネル標識に、坑口はなぜかアシンメトリーな形。
 トンネル内は何もないので通り抜けた後の写真。大夕張トンネルと同じように、スノーシェッドを経て穂別トンネルに突入する。
 穂別トンネル内部。長さ4,320mは道東道第2の長大トンネル。

 トンネル内部は飾りっ気がなく、占冠村との境界表示がある以外は単調だが勾配変化は比較的大きく速度超過を誘発しやすい。

 穂別トンネルは2006年に掘削を開始し、貫通まで4年半を要した。蛇紋岩という脆弱な岩盤帯を貫く必要があったため、崩落対策に苦心し、工事は困難を究めたという。
 トンネル内をひたすら走る。

 先述の通り夕張〜占冠は基本的にヤクモノがなく道路照明も貧弱で、総じて単調である。2018年1月、穂別トンネル内で対向車線はみ出しによる死亡事故が発生している。凍結の可能性もあるが、基本的にハンドルを切るシチュエーションがないので、個人的には居眠りによる事故の可能性を指摘したい。延々と対向車線のヘッドライトを浴び続けるのは想像以上の眠気を引き起こすが、この道路は逃げ場がなく、由仁か夕張で休憩するか、占冠まで逃げ切る以外の対策はない。
 トンネルを抜けると占冠村ニニウに入る。なおトンネル直後でJR石勝線を渡る橋がある。このあたりには清風山信号場という信号場が存在している。

 清風山信号場は1981年石勝線開業とともに使用開始、当初はニニウ駅として計画されていたが、開業前に離村、無人地帯となり信号場として開業した。
 太平洋に注ぐ河川、鵡川を渡る。

 なお、2011年5月、釧路発札幌行きの特急スーパーおおぞらが脱線したのは清風山信号場での出来事で、その後構内の第1ニニウトンネルで停止、炎上した。乗客乗務員は全員避難し死者を出さなかったのは不幸中の幸いだが、彼らが車両から離れた先はこのような深い山の中であった。
 追越車線はないが車間確認。

 ニニウ地区の人口は1960年に48世帯333人、1970年に76世帯477人を数えたが、その後人口は急減し1990年以降、国勢調査上での人口は1桁あるいは「極端に少なく秘匿」された状態にある。
 そんなニニウは集落としては廃村状態にあるが、ニニウキャンプ場というキャンプ場が夏期は営業しており、開放的な大自然でのアクティビティを求める利用客で賑わう。

 占冠側からr136夕張新得線というのがニニウへの主なアクセス路となるが、実は冬期でもそれなりに除雪されており一応は通行可能である。
 山間にひたすら広がるニニウの原生林。次の山が迫ってきたところで、トンネル情報掲示板。

 「トンネル内渋滞注意」という仮設の注意書きが目を引く。2017年のお盆、道東道下りでは大夕張トンネルで10km、東占冠トンネルで20kmの渋滞が予測されていた。次の占冠トンネルは渋滞箇所からは外れているが、渋滞や追突の起こりやすい条件は揃っている。
 「この先トンネルが続きます」

 占冠トンネル、タンネナイトンネル、占冠中央トンネルの3本が待ち受ける。

 渋滞対策では上り坂での速度回復を促す表示もたまに。
 占冠村内最初のトンネルは占冠トンネル。長さは3820m、トンネル内壁面に距離表示がある。
 2本めはタンネナイトンネル。長さは820m。
 [ 5 ] 占冠 1.6km

 占冠ICの予告標識。しかしまだトンネルが見える。
 3本目に占冠中央トンネル。長さは510m、これが占冠IC手前の最後のトンネルとなる。
 (237) <136> 日高 占冠 富良野
 [ 5 ] 出口 1km

 1km予告標識。これまでの出口とは異なり、この周辺の自治体名が広域的に載っている。接続国道もR274からR237に変わっている。
 追越車線 1.6km

 追越車線が現れるのは占冠ICを過ぎた先である。
 (237) <136> 日高 占冠 富良野
 [ 5 ] 出口 500m

 現在、自治体名でいう日高町は山間の旧日高町と海沿いの旧門別町が合併した町を指す(なお、旧日高と旧門別は完全に飛び地の関係)。

 ここで見る「日高」は旧日高町のニュアンスが強いので旧日高町までのアクセスを書いておくと、R237を約9km南へ走り、R274との交点付近が市街地となる。インターチェンジとしては確かに最寄りだが、札幌方面からはむかわ穂別ICを出てR274を走るという手もなくはない。
 「居眠り注意」の電光掲示板。

 数キロ先の占冠PA、あるいは占冠ICで下りて道の駅で休憩すると良いだろう。

 占冠ICは、旧日高町へのアクセスだけでなく、帯広-道東道-占冠-R237-日高道-苫小牧という、苫小牧への物流ルートの中継地点という役割もある。撮影当時、2016年の台風被害の影響で日勝峠は不通であった。特例措置を利用し多くの貨物車両が占冠からR237門別方面へ向かっていったのが印象的である。
 (237) <136> 日高 占冠 富良野
 [ 5 ] 出口

 一方、富良野へのアクセスはR237を旭川方面に北上することになる。帯広方面からだとトマムICや狩勝峠経由の方が有利だが、インターチェンジとしてはこちらが最寄りなので上り線側にも富良野表記は存在する。
 [ 5 ] 占冠IC

 同行者の切符収集と道の駅での休憩を目的に一旦降りる。
 占冠IC料金所

 2016年8月から2017年10月まで、道東道では不通となっていた日勝峠の代替路措置として、占冠IC-十勝清水ICの相互利用に限り、通行料金が無料となっていた。

 写真に一般レーンに入る大型車が写っているが、もともとの道東道ユーザーではなく、代替路措置を利用して占冠から札幌あるいは苫小牧方面へ向かう車かもしれない。ただ、日勝峠復旧後も道東道を選択するユーザーも決して少なくはない印象である。
下り線 区間2
道東道下り線 区間3
下り線 区間4
1 千歳東 2 追分町 3 夕張 4 むかわ穂別 5 占冠 6 トマム 7 十勝清水
最終更新:2018年1月21日