北海道道106号稚内天塩線。
 日本海側を結ぶオロロンラインの最北端部を担う道路であると同時に、開放感溢れるその沿線から多くのライダー、チャリダー、ドライバーを魅了し続ける道である。
 その噂はかつて北海道道をレポートしていた人気サイト「カントリーロード」のレポートを読んで以来常々r106を撮りたいと思っていたが、約10年越しの夢を経て、ようやく実現した。

 前置きが長くなりました。それではレポートしましょう、北海道r106。
Information
路線: 北海道道106号 稚内天塩線
起点:稚内市中央3丁目(R40/R232交点)
終点:天塩郡天塩町川口(R232/r551交点)
延長:68,104m(総延長)
沿線:天塩町中心部 オトンルイ風力発電所 抜海地区 JR抜海駅 JR南稚内駅 稚内市役所 JR稚内駅 など 
走行:全線(終点→起点) 2015年6月21日撮影
Index

 北海道道106号稚内天塩線 第1部 [終点(R232交点)→ 天塩河口大橋]
 稚内まで67kmのセイコーマートで補給後、道道を北へ。
 第1部から既に人のいる雰囲気は無くなるが、これはまだまだ序章。

 北海道道106号稚内天塩線 第2部 [天塩河口大橋→ 北緯45度]
 駐車公園からオトンルイ風力発電所、海沿いの原野を眺め、道中にある北緯45度通過点まで。
 北半球の北半分へ足を踏み入れる!

 北海道道106号稚内天塩線 第3部 [北緯45度→ 豊富町稚咲内(r444交点)]
 スノーシェルターを見て冬の厳しさに思いを馳せつつ、とにかく北へ進む。

 北海道道106号稚内天塩線 第4部 [豊富町稚咲内→ 豊富町-稚内市境]
 サロベツ原野の散策を終え、再び北上。
 道道レポート史上最も「何も無い」区間が待ち受ける!これが、r106だ。

 北海道道106号稚内天塩線 第5部 [豊富町-稚内市境→ 稚内市抜海村クトネベツ(r510交点)]
 「何も無い」区間はほんの少し変化を増し、やがて久々の集落へ。

 北海道道106号稚内天塩線 第6部 [稚内市抜海村クトネベツ(r510交点)→ 稚内市緑1丁目付近]
 日本海と原野に別れを告げ、いざ最北の街へ。

 北海道道106号稚内天塩線 第7部 [稚内市緑1丁目付近→ 起点(R40/R232交点)]
 r106最終部では、日本最北の街、稚内市街を走る。
 日本最北の駅前にて日本最北の2桁国道の終点と共に道道の旅は終わりとなる。

Report 1/7

 道道106号終点

 左折:r551 雄信内  直進:R232 留萌 遠別
 右折:r106 天塩市街

 天塩市街から少し南にずれたところでr106はR232から分岐する。

 左に分岐する道はr551円山天塩停車場線。ロクシナイ峠を越えるR40旧道ルートの一部を構成する路線で、雄信内方面への短絡路。なお、この交差点はr484天塩港線の終点でもある。
 というわけで、交差点を右に。

 朝5時台とあって交通量がめちゃめちゃ少ない。
 右折するとこんな道。この区間はr106,r484,r551の3路線が重複している。
 町中心部から少しズレてるので建物の密度は低い。
 ←キャンプ場(鏡浜海浜公園)
 ←林業研修センター
 天塩川歴史資料館→
 いつくしま公園→
 川口遺跡風景林→

 交差点を前に各観光施設への方向案内が現れる。
 この交差点はR232旧道との交差点。現在のR232は旧羽幌線の敷地を転用したもので、それ以前のR232はやや海寄りの位置を並走していた。

 というわけで、かつてのr106終点はここだったと思われる。
 直進するとちょっと商店が並ぶ。
 左折:r484 天塩新港
 右折:r106 稚内 稚咲内

 ここまで来てようやくr106の道道標識登場。天塩「新港」ということは旧港もあるんだろうな・・・と思ったが、恐らくこの交差点を直進、天塩川河口に降りたところの小さな船着場のことか。
 交差点の様子。道路沿いは微高地になっているが、交差点の向こうはすぐに天塩川河口である。

 その「旧」港らしき場所は、今では公園となっているようだ。
 右折して突っ走る。

 他の北海道の町と同じく、縦貫する道路は見事に直線になっている。
 天塩郵便局のあるこの信号交差点で、r551円山天塩停車場線が右に分岐する。

 先ほど言及したように、旧羽幌線の敷地がR232に転用されているので終点のある旧羽幌線天塩駅跡地はR232交点となる。駅亡き停車場線にして国道交差点で終わる少々珍しいパターンだ。
 r551交点を境に市街地の北半分になる。

 なお、Googlemapでも現地でも先程の交差点-R232旧天塩駅まではr484として表記されている。Wikipediaが違うのか・・・?
 ちょっと広い道路との交差点。ここを右折すると天塩町役場へ繋がる。
 直進:r106 稚内 稚咲内
 右折:R40/R232方面

 ここでR232方面へ向かう道が分岐する。旧道の延長線上にあり、天塩市街の北端に位置する。

 写真右にセイコーマートがある。天塩市街に3つあるセイコーマートの1つで、6月早朝の冷え込みに体を震わせていた我々は、ここで熱いコーヒーと充実した品揃えのパンを買って朝食補給。
 セイコーマートの駐車場の端に、こんなキロポストが置いてあった。稚内まで67km、セイコーマートで補給するライダードライバーチャリダーにロマンを与えるキロポストである。

 道内の国道で見られるものと同じフォーマットで、ここまで近寄って撮れるのは嬉しい。
 先ほどの交差点を直進するといつもの情報掲示板。
 稚内 67km
 稚咲内 24km

 ここまで何度か登場した「稚咲内」という地名だが、「わかさかない」と読む。r444稚咲内豊富停車場線との交点を指し、オロロンラインからサロベツ原野に向かう分岐点にあたる小さな漁港町である。
 この先天塩ふれあい観光牧場入口

 天塩ふれあい観光牧場は「最北の乗馬施設」を謳う小さな牧場で、地元有志が主体となって運営している。乗馬施設といいつつ乗馬レッスンはないが、お手頃な値段で引き馬、体験乗馬あるいは乗馬経験者は場内の一般乗馬ができる。
 町外れによくあるゲートが出現する。この先もうちょっと人家あるはずなんですけどねぇ。
 町を外れると、周囲は低い丘陵と牧草地になる。
 書くことがだんだんなくなってきた。
 ここでカントリーサイン風デザインの描かれた道道標識がお目見えする。
 あれ、天塩町のカントリーサインは天塩川をバックに牛がシジミ採りしてる絵なんだけど、違うぞ・・・
 ここも日本海側の他の地域と同様、冬期には強い西風が吹きつける。道内ではよく見られる地吹雪対策の柵がズラッと並ぶ。
 しかし案外視界は開けない。原野はまだか!?
 天塩川に注ぐ小河川を渡るところで、一瞬視界がひらける。左側には牧草地を挟んで天塩川の堤防がある。

 天塩町の北半分は日本海ではなく天塩川下流に面している。天塩川の反対側には長さ8kmにも及ぶ細長い砂州が日本海と川を隔てている。
 
 道道が堤防を登り出すようになると、天塩川はもうすぐ。
 天塩川を渡る手前で広々とした転回場とゲートが設置されている。

 この先、稚内市街まで商店やガソリンスタンドも無い道が続く。冬期の荒天時にはこのゲートを境にr106が広く通行止めとなることもある。
 天塩河口大橋

 名前の通り天塩川の最下流部にかかる橋。


 さぁ、r106の旅の始まりだ。


Impressions
 r106稚内天塩線は私のような道道を走る者にとって、そして北海道を目指す多くのドライバーライダーチャリダーにとって一つの帰結点となるような路線である。

 道路以外の人工物が一切無い道は道内各所にあるが、地平線に限りなく近い平らな稜線、西側に見える日本海に利尻富士がアクセントを添えるその景色が特に「何も無さ」を強調している。「北海道道で最も魅力的な路線はどこか」と聞かれると恐らく最上位にくるのがこのr106だろう。

 天塩町内の区間はこのように割と平凡だが、天塩川を渡ってからr106は本気をだすようになる。
 若干天候に恵まれなかったが、続きを是非ご覧になっていただきたい。  

Links
 北海道道106号稚内天塩線 第2部 [天塩河口大橋→ 北緯45度]
 駐車公園からオトンルイ風力発電所、海沿いの原野を眺め、道中にある北緯45度通過点まで。
 北半球の北半分へ足を踏み入れる!


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最終更新日:16年1月21日