北海道東部、釧路市~根室市にかけての太平洋岸は、国道ではなく道道が沿岸の集落を結ぶ主要道路として機能している。
 r142根室浜中釧路線は、重複区間を含む延長161km、並走する国道44号よりも長い北海道道最長路線である。

Index

 北海道道142号根室浜中釧路線 第1部 [釧路市桜ケ岡(r113交点)→釧路町昆布森(r1128交点)]

 北海道道142号根室浜中釧路線 第2部 [釧路町昆布森(r1128交点)→釧路町跡永賀]

 北海道道142号根室浜中釧路線 第3部 [釧路町跡永賀 →厚岸町尾幌(R44交点)]
 釧路町内の太平洋岸を走り抜け、厚岸町に入る。平坦な牧草地が広がる尾幌市街を通り抜け、最初の単独区間を終える。

 北海道道142号根室浜中釧路線 第4部 [R44重複区間:厚岸町尾幌(R44交点)→厚岸町宮園(r123交点)]

 北海道道142号根室浜中釧路線 第5部 [r123重複区間:厚岸町宮園(r123交点)→厚岸町筑紫恋(r955交点)]

 北海道道142号根室浜中釧路線 第6部 [r123重複区間:厚岸町筑紫恋(r955交点)→浜中町道有林(涙岬展望台)]

 北海道道142号根室浜中釧路線 第7部 [r123重複区間:浜中町道有林(涙岬展望台)→ 浜中町霧多布(r1039交点)]

 北海道道142号根室浜中釧路線 第8部 [r123重複区間:浜中町霧多布(r1039交点)→浜中町榊町(r123交点)]

 北海道道142号根室浜中釧路線 第9部 [浜中町榊町(r123交点)→浜中町貰人]

 北海道道142号根室浜中釧路線 第10部 [浜中町貰人→浜中町別当賀(r953交点)]

 北海道道142号根室浜中釧路線 第11部 [浜中町別当賀(r953交点)→根室市昆布盛(浜松海岸駐車公園)]

 北海道道142号根室浜中釧路線 第12部 [根室市昆布盛(浜松海岸駐車公園)→根室市光和(R44交点:起点)]


Report 3/12

跡永賀入口

 跡永賀地区への入口。r142はここを直進する。

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北海道道142号根室浜中釧路線 第2部
(釧路町昆布森→釧路町跡永賀)

 距離標識。R44交点までは20km。

 136KP。この先セキネップのあたりまで人家もない無人地帯が続く。

 尾幌 21km

 このカーブの右側に細い生活道路が接続しており、右折すると冬窓床へ至る。

 冬窓床はブユマ(ブイマ)と読む。アイヌ語の「プイ・オマ・イ(穴そこにあるところ)」あるいは「プイ・オマ・モイ(穴のある入江)」に由来する。崖地崩壊や陸地侵食から1980年代に住民が移転し、現在は作業場と思われる小屋(あるいはその跡)が残るだけである。

 135KP。

 r142からも海が見える。

 134KP。海の見える高台。周囲は笹薮。

 北海道東部らしい開放的で何も無い景色が広がる。

 132KP。

 このあたりの海側に初無敵という地名がある。ソンテキと読む。この地名もアイヌ語由来とされるが、意味は明確には判明していないという。

 300m先交差点
 直進:r142 厚岸 尾幌
 右折:汐見

 直進:r142 厚岸 尾幌
 右折:汐見

 右折すると汐見へ至る。汐見は現在も定住者のいる集落で、民家と作業場が並んでいるのが航空写真からわかる。

 汐見は何のひねりもなく、シオミと読む。沿線でも珍しく和名がついているが、これは1940年頃に各地の地名改正をきっかけに和名に直したものとされている。

 厚岸 30km
 尾幌 15km

 汐見の指す範囲はアイヌ語地名でいうと、ワカチャラセ、セキネップ、ニコマナイを指していたようである。汐見という地名は釧路町の行政区名には使われておらず、該当の集落は入境内(ニコマナイ)という地名が使われる。

 海岸線から離れた崖の上を直線的に突っ走る。

 海に突き当たるカーブの内側に、セキネップ展望広場という駐車公園がある。

セキネップ展望広場

 キトウシ以来の寄り道駐車をする。駐車場はとても広く車を止めるのに困ることはない。

 このあたりは厚岸道立自然公園に属している。

 駐車場の近くに、地名看板が立っている。セキネップは賤夫向という字が当てられている。

 地名の由来は「チェプヌルンゲ(魚下るところ)」などと諸説ある。この崖地形が関係しているのは間違いないが、謎多き地名(そして当て字)である。

 セキネップ展望広場から東の海を見る。1軒の小屋がある以外、険しい海岸沿いに人工物は見当たらない。

 西の方向を振り返っても道路以外の人工物は見当たらない。画面奥に一番出っ張って見える海岸線はキトウシのあたりではないだろうか。

 130KP。海岸沿いに人家はないが、道路沿いには数軒の民家がある。

 129KP。

 賤夫向の東隣には分遣瀬という地名がついている。読みはワカチャラセ。「ワッカ-チャラセ(水がチャラチャラと滑り落ちる)」というアイヌ語由来の地名で、航空写真でみると小さな川が海に向かって谷を作っているのがわかる。セキネップと違い謎のない明快な地名だ。

 r142は海を離れて森の中を延々走る。

 見晴らしのよいストレートの先に交差点が見える。

 左折:r142 厚岸 尾幌
 右折:知方学
 右折手前:老者舞

 この先の突き当りで、知方学、老者舞の両地区へ向かう道路が分岐する。

 交差点の手前には127KPが置かれている。

知方学・老者舞入口

 右折手前方向にあたる老者舞はオシャマップ、右折方向の知方学はチポマナイと読む。この交差点を境に、r142は厚岸湾をなぞるように北向きに向きを変える。

 老者舞には大きな漁港があり、知方学には台地の上に小学校のある。両者とも比較的大きな集落(町)である。知方学から更に東へ走ると去来牛(サルキウシ)を経て尻羽岬(シレパ岬)へ至る。このあたりは厚岸湾を囲うように半島状に断崖が飛び出しており、尻羽岬はその先端にあたる。

 老者舞の由来はアイヌ語の「オ・シュマ・オマ・(川尻・石・そこにある・ところ)」あるいは「オ・イチャン・オマ・(川尻・産卵床・そこにある・ところ)」と解釈されている。集落内の川に由来があることが想像されるが、これもまた定まっていない。

 厚岸 23km
 尾幌 8km

 一方、知方学は「チェ・オマ・ナイ(魚の集まる沢)」というアイヌ語に由来する。学校と集落は崖の上にあるが、そこから海へ降りる道がいくつかあり、今も漁業者の船や住宅が海沿いにあるのがわかる。

 7%の下り勾配。たまにきつい坂がある。

 この辺りから海に向かって降りたところに古番屋という地名がある。おそらくは和名で、航空写真でみてもその名の通り番屋が残っているのが見える。古番屋から尻羽岬にかけての海岸線に集落はないが、別尺泊(ベッシャクトマリ)など、幾つか地名が残っているようである。

 123KP。

 知方学入口から4kmあまり、道道沿いに住宅と、その先に海が見える。

 仙鳳趾の漁港を通り過ぎ、久々、というよりはこの道道で初めて平坦な海岸線沿いの道となる。ここからは尾幌までは平坦な道が続く。

 仙鳳趾(センポウシ)は釧路町合併前の村名として使われており、現在も大字(釧路町昆布森大字仙鳳趾村字XX)というように行政区名にも残っているのだが、もともとは先ほどの古番屋のあたりの地名で、明治時代にこの漁港の辺りに移転した地名である。アイヌ語の「チェッポ・オッ・イ(小魚のたくさんいるところ)」が由来とされる。

 国道44号 5km

 画面奥には重蘭窮の市街地が見える。

 重蘭窮はチプランケウシと読む。アイヌ語の「チ・ランケ・ウシ・ィ(舟をいつも下ろすところ)」が由来とされる。

 重蘭窮を抜けるとr142は内陸に向かうのだが、それでも道が平坦である。

 120KP。沿線の昆布干し場が、いつのまにか牧草地に変わる。

 カーブの途中で厚岸町に入る。カントリーサインに描かれている厚岸大橋は厚岸湾の最奥部で厚岸湖を隔てる部分にある。ここからはまだ遠い。

 酪農地帯を突っ走る快走路となる。これもこれで果てしない。

 この先で左折すると厚岸・R44方面。

 直進:オタクパウシ
 右折:r142 厚岸 国道44号

 すぐに交差点。直進するとオタクパウシへ向かう。

 この地名は、アイヌ語の「オ・タックパ・ウ・イ(川尻にヤチボウズが生えているところ)」をに由来する。なお、釧路・上尾幌・塘路方面へ抜ける場合はここを直進して尾幌の東側でR44に接続するのが早い。

 開朧橋にて尾幌分水を渡る。「朧」は単独でおぼろと読む。うまい名付けの気がする。

 余談だが、オタクパウシは「怪物ヒグマ」として知られたOSO-18が駆除された地域である。OSO-18の最初の被害のあった標茶町オソツベツから直線距離で40km離れた場所であった。駆除後、OSO-18はジビエに加工されていたことが判明し一時話題となったが、一方で標茶町に対する抗議電話が殺到する出来事もあった。乳牛に対する被害だけでなくその後の経緯まで社会的に大きく取り上げられたことは記憶に新しい。

 沿線には牧場が立ち並ぶ。

 尾幌地区の市街地に入る。左側には尾幌へき地保育所がある。

 尾幌地区にあった厚岸町立尾幌小中学校は2009年3月に廃校となった。この周辺の児童生徒はJR厚岸駅からほど近い場所にある真龍小学校・真龍中学校に通っている。

 尾幌郵便局。画面奥にはR44交点の案内標識が目立ってきた。

 左折:R44 釧路 別保
 直進:尾幌駅
 右折:R44 根室 厚床 厚岸市街

 R44交点の案内標識。直進するとJR尾幌駅にぶつかって突き当りとなり、r142はR44と重複して右折の厚岸市街方面へ向かう。

国道44号交点

 尾幌地区の中心交差点。釧路市街(r142単独区間終点)以来のコンビニが嬉しい。第3部はここまで。

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北海道道142号根室浜中釧路線 第4部
(R44重複区間:厚岸町尾幌→厚岸町宮園)
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最終更新:2024年6月2日